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2014-01-27 14:06

特攻隊とアルカイダは全く異なる

高峰 康修  岡崎研究所特別研究員
 1月23、24日付で本欄に連載された、河村洋氏の「日本の民主主義と靖国神社の価値観」には、驚きを禁じ得ない。氏は、従来とも、英米流の自由民主主義に基づく世界秩序を是とし、これを「断固として護るべし」と主張しており、それは基本的には正しいものと思う。ただ、氏の論評は、あまりにも欧米の思想や論調にべったりであるきらいが、常にあった。

 今回の論評で驚かされたのは、先の大戦での特攻隊とアルカイダによる自爆テロを同一視している点である。特攻隊による攻撃とアルカイダの自爆テロでは、国際法上の意味合いが全く異なる。すなわち、前者は、戦時国際法に何ら違反しない正当な行為であるのに対して、後者は、いかなる合法性をも有しない犯罪行為である。

 仮に、特攻隊という戦術が如何に奇異なもの、不合理なものに映ったとしても、責任ある司令官の下で軍隊としての外観を全く隠すことなく、整然と行われる行為であった以上、それは国際法上まったく合法な戦闘行為であった。当然のことながら、極東軍事裁判でも、そういう攻撃を行ったことが理由で戦犯とされた者はいない。

 河村氏は「『天皇陛下万歳!』と『アラー・アクバル!』の違いを説明する必要がある。神の名に基づいて自爆攻撃を命ずるイデオロギーなどは、どのような民族、文化、宗教にあっても受け入れられるべきものではない」と指摘しているが、両者の違いは、先に述べた通り、国際法によって明確に説明される。決してイデオロギーや文明論の問題ではない。これを混同した議論は、到底受け入れられない。河村氏の論評で示されている分析自体は興味深く、首肯できる点も少なくないだけに、乱暴にも特攻隊とアルカイダの自爆攻撃を同一視して、説得力を失っていることを、大いに惜しむものである。
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