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2014-01-23 07:05

自民党秘密調査では舛添が断トツ

杉浦 正章  政治評論家
 長老政治家というのは普通は枯れて、ポピュリズムには流れないものが多いが、細川護煕の会見を聞いて御年76歳がなぜここまで大衆迎合に走るのか首を傾げた。おそらく「昔の名前で出ています」ではないが、かつて首相に担ぎ上げられた瞬間の高揚感が心奥(しんおう)からその本能を突き動かすのだろう。だから“厚塗り”して、シワを隠して「原発ゼロ」を高らかに唱え、都知事選では過去最高齢の出馬となったのだ。しかし、「猪瀬の5000万」の“倍返し”となる、「佐川の1億円」は、オリンピック返上論とともにかなり細川にマイナスに作用している。首相・安倍晋三が1月22日のテレビのインタビューで、小泉純一郎が細川の支援に回ったことに関し「議論を活発にする意味で有益ではないか」と余裕綽々(しゃくしゃく)の発言をした。これが気になって調べてみたら、まああの“民度”の低い都民が何と自民党の選挙情勢調査では、圧倒的に舛添支持となっているのだ。さすがに大衆迎合には嫌気がさしてきたのかも知れない。

 かねて指摘したように、マスコミは最初に持ち上げて、後になって落とす性癖がある。細川の記者会見でも佐川急便からの借入金問題やオリンピック返上論をめぐって厳しい質問が相次いだ。小泉の見え見えの戦術・一点集中選挙は、まさに揺らぎ始めたのだ。そして殿様の会見は隙だらけとなったのだ。細川は焦点の原発政策について「原発ゼロの方向を明確に打ち出さないと50年100年たっても原発依存の状況から抜け出すことは不可能」と高らかに「ゼロ」に踏み切った。小泉と完全に歩調を合わせたのだ。しかし即ゼロへの道筋を聞かれるとしどろもどろで「有識者会議で検討する」である。まさに都合が悪くなると政治家が逃げの一手の先延ばしで持ち出す「審議会方式」そのままだ。だいいち都知事になったからと言って、国のエネルギー政策に横やりを入れることなど不可能だ。都は東電の株式を1.34%しか保有していなくて、過半数を保有する政府に対抗などできるものではない。要するに、小泉も細川も実行可能なビジョンなどさらさら持ち合わせていないのだ。言ってみれば小沢にだまされて脱原発の日本未来の党なるものを作って、総選挙で大敗北した滋賀県知事・嘉田由紀子のレベルの低さとそっくりなのだ。加えて、原発ゼロは舛添の主張する脱原発と比較すれば実現性に乏しい。また即ゼロと脱原発では争点がぼけて先鋭化しないのだ。

 
昨年末に雑誌に語ったオリンピック返上論に対しても、「思い直した」のだそうだ。殿様だから「思い直した」で済むのだろうか。言い訳も論理破たんしている。「当初は原発事故からの復興にめどがつかない段階で、招致に賛成する気になれなかった」と弁明したが、昨年末にめどがつかないと言いながら、1か月もたたないうちにめどがついたのだろうか。「東北の皆さんに協力してもらい、『東京・東北五輪』にできないかと考えている」と述べたが、IOCは「東京オリンピック」を決めたのであり、床屋談義のおっさんのような発想を支持したわけではないし、覆せるわけがない。東北と言えば国民の同情を買って、注目を集めて票になる段階はもう過ぎたことが分かっていない。

 佐川急便からの1億円借入にしても「改めておわびする」と述べたが、おわびで疑惑が消えれば世話はない。土地建物の抵当権が抹消されていることが佐川への返却の根拠だが、本当に返済した上で抹消されたのかは、霧の中だ。猪瀬の5千万円はその後仲介者に500万円を渡していたことが判明し、使わずに返したという主張が崩れて、にわかに事件性を帯びているが、その最中での佐川疑惑の蒸し返しがマイナスに働くのは確実である。こうした中で注目の世論調査の結果がちらほらと出始めている。自民党幹部によると、同党が秘密裏に行った情勢調査では、舛添要一が細川を大きくリードしてトップだ。倍以上の差があるというのだ。しかもその差は拡大傾向をたどっているのだそうだ。これを裏付けるように、日経のアンケート調査でも、舛添支持が45.3%で断トツ。これに田母神俊雄の26.4%が続き、細川は17%にとどまっている。東京都の場合膨大な浮動票があり、これが選挙の帰趨を左右してきたから、まだ即断はできないが、注目すべき情勢ではある。このままいけば当初細川側近が懸念していたとおり「殿が晩節を汚す」流れとなりそうだ。
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