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2013-10-17 07:05

この野党代表質問では、政治の劣化が心配だ

杉浦 正章  政治評論家
 なれないヌンチャクを振り回して立ち向かったが、自分の頭に当たったようなお粗末な質問だった。野党第1党の党首がこれでは、臨時国会の自民党ペースを保障するようなものとなった。民主党の肩を持ちたい朝日新聞までが、社説でしびれを切らせて、「野党は論戦力を磨け」と書く始末だ。党首としての当事者能力に疑問符のつく海江田万里を代表に据えた民主党左派の失敗だ。一方、極右の維新共同代表・石原慎太郎は、自らの尖閣購入構想が日中関係に壊滅的打撃を加えた責任を棚上げにして、「灯台作れ」と力んだ。この時点で日中戦争に突入しかねない主張をするとは、どこまで老害を振りまくつもりかと言いたくなる。はちゃめちゃ野党では、政治の劣化が案じられる。

 汚染水問題で海江田は首相・安倍晋三が国際オリンピック委員会(IOC)総会で「状況はコントロールされている」と発言、東電関係者が「コントロールされていない」と述べた点を取り上げた。「言葉が極めて軽いと言わざるを得ない」と追及したが、首相・安倍晋三は「全体としてコントロールされている」と突っぱねて、平行線に終わった。「言葉が軽い」は質問者によっては、安倍の急所を突きうる論点であったが、海江田が言うと逆効果だ。自らの軽さは証明されている。生活代表・小沢一郎が「御輿は軽くてパーがいい」と、幹事長・輿石東を使って担ぎ上げた事がそれを意味する。経産相時代に玄海原発の再稼働に踏み切ろうとしたのはいいが、首相・菅直人に阻止されて、打つ手を知らず涙を流して悔しがった。その軽さは鴻毛の如きであった。そもそも汚染水問題は、民主党政権時代に東電がずさんな貯水タンクを建造しているのをチェックできなかった事に端を発しており、尻拭いさせられているのは安倍の方だ。

 海江田は安倍の成長戦略についても、「民主党政権時代の内容の焼き直し」と断定したが、民主党政権が景気対策で何か実績を上げたかというと、三代続けて代表は景気対策など全く念頭になかった。焼き直しを言うなら、株価が少しでも上がったかと言うことになる。要するに、民主党はアベノミクスに対して発言権がないのだ。さらに安倍の政治姿勢について海江田は、安倍の所信表明に「意志の力」という表現があることをとらえて、「独裁者を思い出した」と指摘した。ヒトラーは「意志の力」をプロパガンダの中心に据え、同名の映画まで作って宣伝しているが、そのヒトラーのようだと言うのだ。しかし安倍の演説は「明治人たちの意志の力に学びたい」と述べ、また、パラリンピックの競泳金メダリスト成田真由美の言葉を引用し、「意志の力により課題を乗り越える重要性」を強調しただけのことである。安倍にヒトラーを真似ようとする意図は感じられず、その右寄り姿勢をヒトラーのイメージに重ね合わそうとするのも無理がある。民主党内左派が支配する書記局が作った質問書の原案をそのまま採用したに違いない。

 左派といえば海江田は「憲法96条の先行改革反対」を唱え、集団的自衛権の憲法解釈変更について「到底理解できない」と発言したが、これは党内論議を経た上での発言であろうか。2012年5月の首相・野田佳彦の訪米では、オバマとの間で「日米同盟関係の深化」がうたわれ、野田は集団的自衛権容認の姿勢を明らかにしたと言われている。党内右派は海江田が代表質問でこのような質問をすることを認めていないはずであり、これも左派執行部の独断専行であろう。要するに、海江田の質問は安倍の言葉尻をとらえることに終始していた。海江田が「国家戦略特区」を「解雇特区だ」と追及すると、安倍は「レッテル貼りは事実誤認で不適切」と切り返した。言葉尻をあげつらうから、答弁も通り一遍となり、深めることが出来なかったのだ。表面的なやりとりに終わったのは、確かに海江田に「論戦力」がない事を物語っている。一方で、石原の質問にいたっては時代錯誤も著しく、自民党青嵐会時代からまるで進歩していない。尖閣を購入に導いたことを得意げに語った上に、「万人が納得する施政権の行使」のための灯台建設を促した。GPSが主役の時代に、灯台の光りを頼りに航行する船などない。自らが一触即発の危機を招いたことすら全く認識していないのだ。今灯台を作ったら危機どころか戦争に突入する。「馬鹿も休み休みにせよ」と言いたい。こうして野党質問第1日目は、お粗末かつずっこけ質問に終始して、8対2で安倍の勝ちとなったのだ。
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