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2013-09-04 06:47

最大の成長戦略は原発再稼働しかない

杉浦 正章  政治評論家
 やっぱり小泉進次郞は大物だ。父親の重圧にあえいでいるかと思っていたら、純一郎の「原発ゼロの暴論」には耳を貸していないことが分かった。大飯原発が全面ストップして1年2か月ぶりに「原発ゼロ」になるが、このゼロは無限大の可能性を秘める数字だ。なぜなら長期にわたってゼロになることは、日本が国家としてつぶれることを意味するからだ。逆転の発想でみれば、安倍政権は秋の成長戦略の最重要の柱にその“ゼロの貯金”を取り崩せることになるのだ。原発再稼働を最大の景気対策に出来るのだ。化石燃料輸入による3兆9千億円の国富の流出を止めることができ、6社が値上げを断行した電力料金の引き下げにつながる原発再稼働だ。大飯原発は冬にも再稼働の流れが確定、その他の原発も来年初めにかけて次々に再稼働へと動く。当然市場ははやす。大飯原発は、9月2日深夜に3号機が停止し、定期検査が始まった。15日には4号機も止まり、2012年7月以来、国内で稼働中の原発は再びゼロになる。マスコミは、番組中に女子アナに痴漢行為を働いてもTBSが降板させない下劣の極みのみのもんたと、それにへつらう「コメンテーター一家」をはじめ、朝日新聞などは大喜びだ。ところが先の見えない代表格として新たに登場したのが、元首相・小泉純一郎だ。

 先月26日の毎日新聞の風知草が「小泉さんは原発ゼロだ」と喜んでいる。小泉はフィンランドの世界で唯一着工された最終処分場を見学して舞い上がった。「いま、オレが現役に戻って、態度未定の国会議員を説得するとしてね、『原発は必要』という線でまとめる自信はない。今回いろいろ見て、『原発ゼロ』という方向なら説得できると思ったな。ますますその自信が深まったよ」と発言したのだ。使用済み核燃料を10万年、地中深くに保管して毒性を抜くというのだが、その10万年が小泉の気に食わないらしい。「10万年だよ。300年後に考える(見直す)っていうんだけど、みんな死んでるよ。日本の場合、そもそも捨て場所がない。原発ゼロしかないよ」なのだそうだ。悠久の地球の歴史から見れば、別に地球から取り出したものを地球に返して何が悪いのかと思うが、小泉の科学知識の“想定外”なのであろう。日本は国有地をボーリングすればよい。まさか息子まで親父と同じ考えではないだろうと思って調べてみると、進次郞は健全そのものだった。テレビで、とうとうと再稼働論を述べている。「これまで歯を食いしばりながら日本国内で耐えてきた企業が、原発ゼロを機に一気に海外に流出していくだろうということです。日本の産業は空洞化します。そのような事態を招かないようにするのが政治の責任なのです」と述べていた。鳶が鷹を生むとはこのことだ。

 小泉一家の話はさておき、首相・安倍晋三は成長戦略に原発の再稼働を想定せざるを得ない状況となっている。これといって成長の柱になるものが見当たらない中で、最大の景気対策は再稼働しかないからだ。マスコミは放射能漏洩事故が続いている中での再稼働に難癖を付けるに決まっているが、目明き千人盲千人の世の中だ。だいいち総選挙と参院選挙で再稼働を安倍や幹事長・石破茂がテレビで公言、公約とした上での圧勝である。朝日は卑怯未練にも、「原発や憲法などの争点は浮かび上がらなかった。いや、安倍が、たくみに争点を浮かび上がらせなかった」と主張しているが、冗談ではない。事実に曲解がある上に、マスコミの先頭を切って原発を争点にしたのは朝日自身だったではないか。原子力規制委員会は、ストップする大飯原発の地下には活断層がないことがようやく分かって、冬にも再稼働にゴーを打ち出す。それにしても学者の判断の悠長さにはあきれる。当初から活断層ではなく地滑りの跡とみる専門家もいたにもかかわらず、一人東洋大教授・渡辺満久だけが「活断層だ」と主張して譲らず、結論に10か月もかかった。日経によると、調査団でただ一人の地質学者である産業技術総合研究所主任研究員・重松紀生が、鉱物の分析結果などから断層が40万年前より大幅に古いことを認定し、「(関電の言い分は)おおむね妥当」と表明。調査団の判断を方向付けたのだという。だいたい一人の頑固者のために原発が長期にわたり止まるというシステムに問題がある。規制委は、人数が足りないことを理由に、対応が遅すぎるし、委員長以下視野狭窄(きょうさく)で全体像を見失っている。それでも大飯が動き出すことは突破口となる。既に原子力規制委の新規制基準の施行を受け、4電力会社が計5原発10基の再稼働に向けた安全審査を申請している。いずれも基準合致が有力視される原発ばかりであり、やはり冬には第一号の再稼働が実現する段取りだ。

 そもそも自然エネルギーなどは、3年たってもほとんど開発が進んでいない。全体に占める割合は1.4%に過ぎず、これが一挙に原発エネルギーに取って代わることはあり得ないことが立証されつつある。朝日は参院選前の社説で、「原発が『安くて安定』はもはや色あせた言い回しだ。脱原発を訴える野党は、その矛盾をあぶりださなければならない」とけしかけていたが、その「安くて安定」は原発しかないことは、歴史が証明するだろう。科学技術というのは不断の進歩の歴史であり、新技術が必ず開発されて「原発ゼロ」が夢物語になるときが確実に来るだろう。今自民党が「最終的にはゼロ」と言っているのは、その方向が読めるからだ。時間稼ぎに過ぎない。安全なる原発製造の中核は、事故をノウハウに生かせる日本しかないのだ。なぜなら世界のすう勢は放射能の危険性を制御の上活用していくしかないというところに到達、日本への期待は高まる一方だからだ。直接原発事故で死んだ例は事実上の核爆発のチェルノブイリが10万人と言われているが、日本では直接の死者はゼロだ。世界的に見れば、死者数は自動車事故の方がけた外れに多い。安倍は原発再稼働を成長戦略の柱に据えて、産業輸出と電気料金の値下げをはかるしか、アベノミクスの維持継続はないと考えるべきだ。市場の期待も大きい。3日は、汚染水対策を国が負担することになって、東京電力株が続伸、大飯原発が「活断層ではない」との見解を好感して関西電力株がやはり続伸している。原発再稼働はもっと市場が好感する要素になる。
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