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2013-07-01 11:20

アメリカに「米中新時代」の意識はあるのか

鈴木 馨祐  衆議院議員
 6月上旬、カリフォルニアで米中首脳会談が行われました。長時間にわたり行われた点、かつリラックスした雰囲気で行われた点に注目し、米中関係の深化の象徴的な会談との評価がある一方で、米中で非常に隔たりが大きい分野が大きく、それぞれについて一致を見ていないことから、表面的な親密さとは異なり実態としては非常に冷たい関係が続いているのだとの評価もあるようです。評価が世界的にも混乱している状況ですが、過大評価も過小評価もどちらもするべきではありませんが、一体我が国としてはどこに注目すべきなのか。

 一言で言えば、それはアメリカの中国観がどこにあるのかという点に尽きると思われます。一昔前に盛んだったG2の議論。即ち中国がアメリカと並ぶ大国となるのではないかという議論、さらには中国がやがてアメリカを超えるような存在となるのではないかという議論、こうした受け止めがアメリカの側にあるのかないのか、それが大きな問題です。中国としてはこのG2のような印象を世界に対して与えたい、またあわよくば西太平洋・アジア地域に於けるアメリカの影響力を低下させ、中国が軍事的政治的経済的にアメリカに取って代わりたい、という意図で動いているのは明らかです。

 しかしアメリカが一体どうだったのか。その点の分析が極めて重要です。中国との間で、東シナ海の境界問題を抱え、かつ尖閣諸島への中国の挑発行動が続いている状況下で、また知的財産権や環境問題、人権問題など多くの問題を抱えた中国が永遠に隣国として存在している状況下で、我が国として価値観を共有するアメリカをどこまで信用して大丈夫なのか。アメリカとして今後もアジアでのプレゼンスを維持する意思が変わらないのであれば、アメリカが同盟国日本の不利益となることを許容する可能性は低いと思われます。この地域にコミットし続ける以上は安定的な同盟国でありかつ地域大国である日本の国益は基本的にはアメリカの国益と重なるからです。特に領域の問題、共通の価値の問題はそうです。であるとすれば、日本は無意味にトラブルメーカーとなることさえしなければ、アメリカと一枚岩で中国に圧力を加えていくことが出来ます。

 しかしもしもアメリカが、長期的には中国の覇権を許容するようなことを考慮している場合には、この前提は完全に崩れてしまい、その場合には我が国の安全保障・外交戦略は根底から崩れてしまうことになってしまいます。少なくとも現時点でこの後者の可能性はないと思われますが、中国の今後の動向とともにアメリカの動きにも留意することが必要です。そして、中国に関する様々な問題課題についても、地政学的にその影響を直接受ける我が国からアメリカに情報提供等を通じて認識を共有することが極めて重要です。
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