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2013-04-25 16:14

日銀が演出した「サプライズ」と日本の三つの「リスク」

鈴木 馨祐  衆議院議員
 4月5日付の英紙『Financial Times』は、“Japan starts monetary revolution”との大見出しに始まり、数ページにわたって日本の金融政策あるいは経済についての記事で埋め尽くされました。このように日本に関心が、それもポジティブな驚きをもって向けられるのはいつ以来か、というくらい久しくなかったことです。マーケットの動きを見ても、概ね日本の今後に向けての期待が見られるように感じられます。確かに金利が若干乱高下しましたが、概して日本の今後の変化を前向きにとらえる動きが感じられます。

 このことは非常にいいニュースですし、政府日銀連携しながらいい流れを加速していってほしいと思います。また我々与党もそれをサポートできるように、「日本経済にとっての最後のチャンス」との覚悟と緊張感を持って頑張っていきたいと思います。しかし、このような明るい側面の一方で、我々が決して忘れるわけにいかない「三つのリスク」があります。そしてこの3つはいずれも根が深く、すぐに変えられるものではありません。しかしだからこそ、一刻も早く本気で覚悟を持って取りかかる必要があるリスクです。一つは人口動態。少子化高齢化が進み、人口が今後減少していくトレンドにあること。これはきわめて大きなリスクであり制約です。

 二つめは、これまでの累積の国の巨額の借金です。現在の巨額の借金は利息分の負担を考えても極めて大きな制約要因です。そして、その規模はもはや「無駄をなくせばいい」というレベルのものではありません。今後の高齢化の中で、今の社会福祉のシステムが、構造的に財政赤字を今後も拡大させていく仕組みになっていることを考えれば、このポイントは非常に深刻なリスクです。そして、三つめは、今週国会の二つの委員会で私自身外務大臣に対しての質疑もさせていただいた点ですが、東アジアの安全保障環境、地政学的な状況です。朝鮮半島情勢の緊迫化、中国の軍備拡張と対外政策による周辺国との摩擦は極めて深刻なリスクです。この三つはまさに日本経済に固有のリスクであり、グローバルな枠組みでの議論というよりは、日本が独力で、あるいは安全保障については同盟国と連携して、向き合わねばならないリスクです。

 この三つのリスクを認識し、適切な対応を本気で進めていくことが、今後日本の国が長期的に繁栄を維持していくためには不可欠です。明るさがようやく少しだけ見えてきたこの時期だからこそ、そして、もしかしたらという希望も芽生え始めているこの時期だからこそ、「好時魔多し」とならないように、こうした点の認識を、我々は改めて持たねばならないのではないでしょうか。そのことがこの国の未来に責任を持つ政治家の使命のはずです。選挙区内のあちこちの地域で行われている観桜会などの行事に伺い、多くの皆さまとお話しさせていただきながら改めて感じた次第です。
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