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2006-08-29 09:11

補足:日本人とロシア人

四条秀雄  不動産業
 ロシアのプーチン大統領は柔道の達人だということは有名ですが、オリンピック競技で日本人とロシア人がかち合う場面は多いです。かつては、体操やバレーボールで、最近ではフィギュアスケートやシンクロナイズドで、印象に残る対決のシーンが記憶に残ります。最近の日本人は、昔の日本人と違って締りの無い国民性になってしまったので、最近は何をやってもロシア人に敵わないですが。このように日本人とロシア人が嗜好する競技というのは、非常に似通ったものが多いように思われます。今のロシアの経済・文化は崩壊してしまっているので、ふつうの国民の精神的表現性が発現する場面が少ないですが、スポーツの場面で見られる、ロシア人の競技技術習得への精神性は、日本人の技能・技術・匠・型・様式に拘る精神性と非常に近く、個人的には、ロシアに革命など起こらず文化の破壊断絶が起きなければ、ロシアの社会は、日本に近い姿であっただろうという気がします。

 また、ロシア人の政治経済行動は、日本人とは表面上全く異なるとみなされがちですが、日本経済におけるヤクザ社会を見れば、ロシアだけが特異ではないことが理解できます。そればかりか、政治行動は非常に似通っていて、プーチンが選ばれてくる過程は、日本の派閥力学と似ていたのではないでしょうか?
相当に力が飛びぬけている人物か、或いは、一見して当たり障りの無い自分の地位を脅かさない、そういう印象を与える人物が選ばれてくる(無害なトップが選ばれた後の実際は、予想と異なる場合もありますが)。中選挙区制や族による利権の制度化がないために、ロシアの派閥力学はあいまいですが、次に選出されるリーダーは、そういう性格でしょう。ロシア人といえども、全く予測のできない将来は望まない以上、強力なリーダーか、無害なトップを選ぶことで将来を担保するしかありません。

自民党型長期政権は、
(1)官僚による利権の管理と
(2)中選挙区制と
(3)派閥-族による利権の割り当て
の3点の確立が重要だ。
まず、(1)によって政治家から利権全体を切り離すこと。
利権を政治家に管理させないことでマフィア・暴力団的抗争を避ける。
そして、官僚組織は利権の管理に適した構造を形成していること。
次に、(2)によって、同一政党内で争うことが可能であること
最後に、(3)によって、首相候補者推薦人数で定義された派閥が、
首相選出を巡る政治ゲームで官僚の管理する利権とマトリックスを形成する。
経済的パワーが、初期状態から政権政党に結びついているから
長期政権が可能になる。
利権の管理は官僚に任せてあるので、外国から見た当該国の不確実性は低く安定して見える。


 この分析があたっているのか間違っているのかわかりませんが、もしもそうなら、日本は条約ではなく政治対話をモスクワに近い場所で確保すべきです。政治力学が感じられる場所にいるべきです・また、中国人を沢山招くのではなく、多くのロシア人政治留学生を招いた方が良い。日本留学生の中から、ロシアの強力なリーダーは現れないでしょうが、無害なトップの候補に日本留学組が紛れ込む可能性は非常に高い(柔道からみれば、プーチンもある意味で日本留学組でしょう)。


 またロシアは、石油生産がピークを打ち漸減する局面に入っていると言うので、それに変わる資源の確保が長期的課題になっています。その第一候補は天然ガスでしょう。サハリンでも、ロシア流の乗っ取りが行われるでしょうが、長期的課題としての天然ガス資源の開発パートナーとしての価値が日本にはありますので、その点をくどく認識させることは重要でしょう。上海協力機構などの中露間の提携は、一見凄そうにみえますが、ルールを形成するパワーが弱く他国が乗ってこれません。19世紀ならともかく、グローバル化した世界では、ルール形成能力が、世界の各国をまとめる力となります。当面、世界には米国かEUかの選択肢しかないのです。そしてEUが力を増すと、衛星国の離反が起きてロシアは孤立した状況になります。また、世界市場に組み込まれた中国は、ロシア以上に米国やEUのルール設定パワーの影響を受けます。さらに中国には、国内で起きている問題に取り組むために、民主化への要求が強まることになります。

 ちなみに、日本の巨大な累積した国債の問題も、分権化の失敗による面があり、その解決策はオーストラリアやニュージランドの進んだ公会計制度にあります。20年ほど前のオセアニア地域で起きた民営化の流れは成果を出しているのですが、民営化に当時は大騒ぎしましたが、その後については日本ではフォローされていません。
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