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2013-03-21 17:53

中国の大気汚染(越境公害)問題について

鈴木 馨祐  衆議院議員
 若干古い事件になりますが、トレイル溶鉱所事件という事件がありました。カナダの工場で排出された亜硫酸ガスが国境を越えてアメリカに被害をもたらし、判決において、カナダがアメリカに賠償を支払うこと、そして防止の義務を認めたというものです。その後の国際法の基本原則として、ここで議論されたような、越境環境損害に関する損害防止義務は戦後の様々な宣言や条約にも受け入れられているようです。そもそもの考え方として、たとえそれが自国の領域であっても何でもしていいということではなく、越境公害等により他国に損害を与える可能性が予見される場合にはそれを防止する義務がある、というのが国際法上の一般原則であるということのようです。

 今中国での大気汚染とその偏西風の風下である日本への越境被害が懸念されています。これは従来から指摘され続けてきた問題で、わが国としても中国側に折に触れて法整備とその執行の体制整備を求めてきたところですが、それが進められなかった結果、今回のような事態に立ち至っています。まさにそれは中国共産党が経済成長を求めるあまり、海外から指摘され当然判っていたはずのこうした環境問題を作為的に後回しにしてきた結果です。

 九州において、いろいろな被害が、これまでも黄砂や化学物質などで報告されています。国際判例においては、人身や財産に実際に発生した物理的損害に賠償は限定されていますので、因果関係の立証も含めた科学的な検証が必要ですが、「のど元を過ぎて」のち、中国の対応があまりされないということであれば、日本政府として国際社会とも連携して責任の明確化を求めることもまた必要かもしれません。

 当面は科学的な検証と中国の対応を見守るということになろうと思いますが、ことは地球環境や人体にもかかわる問題ですので、毅然とした対応に踏み切ることも場合によっては必要です。私としても、現在与党・自民党の環境部会長代理の任についておりますし、従来から環境問題に取り組んできた経緯もありますので、この問題しっかりとウォッチしていきたいと思います。
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