国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2013-01-17 18:31

最強の四人組で固めた米外交陣

川上 高司  拓殖大学教授
 オバマ大統領2期目の国務長官は、ジョン・ケリー上院議員が指名された。続く国防長官は誰が指名されるのか注目の的だったが、年が改まるとチャック・ヘーゲル元上院議員の指名がほぼ確実となった。ヘーゲルの指名に対しては、ヘーゲルがイランに対して柔軟路線であること、ハマスとの対話を主張していることから共和党保守派やイスラエルロビーの猛反発が起こっており、指名承認が危ぶまれているとの報道も見られる。だがそれ以上に支持する声の方がはるかに強い。

 元国家安全保障補佐官の重鎮ブレント・スコウクロフトをはじめ、ブレジンスキー、カールッチ、オバマ大統領のアドバイザーだったジェームズ・ジョーンズがそろってヘーゲル支持を堂々と打ち上げた。さらには中東各国大使を歴任したライアン・クロッカーをはじめとする元大使たち、元CENTCOM将軍たちからも支持が厚くベトナム戦争経験者ゆえに軍 部の信頼も獲得している。また著名なジャーナリストたちもこぞってヘーゲルを支持している。まるで大統領候補のような華やかで熱い支持はヘーゲルの人望の厚さを語っている。

 ヘーゲルは1996年にネブラスカ州の上院議員に当選して以来、2008年まで議員を務めた。実は、ケリー、バイデン、オバマの4人は3年間と短い期間だが任期が重なっており、2005年から2008年までは上院の外交委員会で一緒だった。外交委員会にはさらに小委員会があって担当が分かれている。2005年から2006年の間は、東アジア・太平洋小委員会ではヘーゲル、バイデン、ケリーは一緒だった。同時にヨーロッパ小委員会でヘーゲルとバイデンは一緒だった。更に世界経済貿易などの小委員会ではケリー、ヘーゲル、オバマが一緒だったし中東小委員会ではヘーゲルとオバマは一緒だった。
 
 2007年から2008年までは4人はやはり外交政策委員会に属していて、ヘーゲル、ケリー、オバマは東アジア太平洋小委員会に属していた。経済貿易などの小委員会でもヘーゲル、ケリー、オバマは一緒だった。つまり第2期目に重視される東アジア・太平洋地域の外交政策に4人が精通し、経済政策にはケリー、オバマ、ヘーゲルが豊富な知識を共有しているのである。この外交政策委員会同期で固めた政権によってオバマの2期目の外交政策は運営される。気心が知れている4人がまさに1枚岩となって外交政策が進められるならば、手強い外交が太平洋で展開される可能性は大きい。外交「四人組」の誕生によりオバマが2期目の外交政策にかける意気込みの強さが表れた閣僚人事である。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会