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2012-10-07 17:53

(連載)オスプレイが問う日米の「信頼の絆」(1)

高畑 昭男  ジャーナリスト
 防衛省が主催した米海兵隊の新型輸送機MV22オスプレイの体験搭乗に参加した。搭乗してみての第一印象は「思ったよりも機体が小さい」だった。定員24人の機内は、20~30人乗りの小型バスのようだ。低い天井は電子機器などのムキ出しの配線でびっしりと埋まっている。座席が背中を壁際にくっつける形で並び、窓が4カ所にしかない(窓は非常用脱出口にもなる)ことなど、いかにも軍用らしい仕様だ。床から伝わってくる小刻みの振動と、「キンキン」と響く金属的なローター(回転翼)音が特徴的に感じられた。

 小ぶりなだけに小回りがきく。ヘリコプターモード、スピード感のある飛行機モード、戦場などから高速で上昇・脱出する急速離脱モードの3モードを連続して使い分け、米軍岩国基地(山口県岩国市)の周辺をキビキビと飛び回った。各モードに約7分間、計20分余の短いフライトでしかなかったものの、途中で身の危険を感じることはなかった。また、オスプレイ最大の特徴である「可変式回転翼」(ローターの角度を変えることで垂直上昇したり、固定翼機のように飛んだりする)の角度を変える際にも、機内にいると気がつかないほどにスムーズだった。

 オスプレイは現役のCH46ヘリコプターよりも速度が2倍、搭載量が3倍、行動半径が4倍という高い性能を誇る。オリンピックの標語風にいえば、「より速く、より高く、より遠く」へ兵員や物資を運ぶことができる。通常飛行の際の騒音もより少ないという。とりわけ往復燃料や作戦行動なども含めた「行動半径」の差は重要だ。CH46の行動半径140キロに比べて、MV22は4倍の600キロもある。配備先の米軍普天間飛行場のある沖縄本島から尖閣諸島(約420キロ)までノンストップで往復作戦をこなせるのは画期的といえるだろう。

 しかもCH46は空中給油ができないが、MV22は1回の空中給油で行動半径が1100キロまで伸びる。沖縄中心の地図をみれば一目瞭然だが、これは朝鮮半島のソウル、台湾全土、中国の上海、フィリピン北端までを含む大きな距離圏だ。この巨大なエリアをカバーできることによって、海兵隊の作戦行動範囲が大きく広がることを意味する。(つづく)
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