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2012-02-29 21:47

マルチ・スピ-ドの展開時代を迎える東アジア・太平洋地域協力

石垣 泰司  アジアアフリカ法律諮問委員会委員
 TPP交渉への日本の参加が間近となるにつれ、1年前には予想されていなかった新たな地域統合の展開への息吹が東アジア・太平洋地域に感じられるようになった。 TPP自体は、2006年シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国間で始まった経済連携協定にすぎなかったが、その後、2010年からの拡大交渉に米国、オーストラリア、ベトナム、ペルー、マレーシアが加わってから、重要性を増し、さらに、米韓FTAの成立を踏まえて、日本がTPP交渉のための協議を関係国と開始して以来、TPPは、アジア太平洋地域における地域協力の新たな主要な枠組に発展しそうな展開をみせ始めている。

 このような情勢下で、TPPには、すでにカナダ、メキシコが交渉参加を表明し、フィリピンなども関心を示しているといわれる。TPPは、関係国間で合意成立後も、アジア太平洋地域の他の国の将来における加入に開放されているので、米国、日本を含む地域の主要国間で合意が成立すれば、東アジア太平洋地域における貿易・投資に関する高度の地域協力のモデル枠組みとなることは間違いない。

 一方、東アジア・太平洋地域においては、すでに、着実に地域統合が進展しつつあるASEAN共同体に加え、ASEAN+1、ASEAN+3、ASEAN+6に米露が加わったASEAN+8(東アジアサミット)、日中韓、APECなどの複数の地域協力の枠組みが形成されており、ASEAN+1のFTAのほか、ASEAN+3やASEAN+8、日中韓それぞれのFTA、APEC諸国間FTA(アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP))の構想・提案が出され、同時並行的に検討が始まっている。日本は、TPP交渉に正式に参加を決定しても、日中韓、ASEAN+3、FTAAP等についても前向きに参加を引き続き検討することとなる模様である。

 つまり、東アジア・太平洋地域においては、従来より地域統合の中核となるとみられてきたASEAN+3に加え、ASEAN+8や日中韓、TPP、APECといった地域枠組みに基づくFTA/EPA交渉が同時並行的に進行しようとしており、それぞれが目指す地域協力の参加国、関税撤廃その他譲許の品目・水準・内容等が少しづつ異なっているということである。今後、これら各地域枠組みの交渉は、それぞれ異なるスピードで開始され、進行することとなるべく、そのうち関係国が最も熱意を傾け、まとめ上げたものから現実に動き出し、熱意や妥協の精神が乏しかったものは結実しないこととなり、これら交渉の結果は、東アジア・太平洋地域における地域協力・地域統合の将来の姿に大きな影響を及ぼすこととなろう。
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