国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2012-01-08 02:11

真の脱官僚とは何か

入山 映  サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
 司法試験に合格し、司法修習を終えた弁護士志望者のうち約2割(400人)が弁護士登録をしなかった。その理由は「弁護士が増え過ぎて仕事がない」ので、弁護士会や日弁連に入るのに必要な数万円から数十万円、さらには毎月数万円の会費が払えないのだという。(23.12.16朝日朝刊1面及び37面)法曹の絶対数が不足するからと、鳴り物入りで法科大学院制度を導入したのが7年前の平成16年だ。その当時は、平成22年には司法試験合格者は3千人を予定。それに対して文科省や大学はそれでは不足だ、9千人規模で考えるべきだ、と主張していたのは記憶に新しい。

 3千人はおろか、2千人弱の司法修習卒業者でこの始末だ。文科省と大学の甘い見通しに踊らされた法曹希望者は不満の持ってゆきどころもあるまい。もっとも、自分の身の振り方というのはかかって自己責任であって、よそにその責めを求めるというのは筋違いだという意見もあるだろう。だが、税金を使って振りまいた幻想や楽観的な観測に対しては、やはり行政たるものの責任を求める声が起こっても無理はない。そもそも行政の中長期展望は当たったためしの方が少なくて、そんなものを信じるやつの方がバカであるに過ぎない。という冷めた見方もあろう。それでよいのか。

 最近TPPで再び脚光を浴びるようになった日本の農政のでたらめさ。タクシーの需給を巡って、統制経済でもあるまいにいまだにいたちごっこを繰り返している台数制限。治山治水、農地開拓を巡って時代遅れになった「長期計画」を愚直に執行するお役所仕事。枚挙にいとまのないこうした愚行の数々は、本来無責任体質のお役所に、「切れば血の出る」なまなましい経済現象の舵取りをさせることの当然の帰結であるといってよい。しなくてもよい、というよりしてはいけない仕事をお役所にさせた結果、ことは単に血税の浪費であるに留まらず、被害者は死屍累々だ。それでいて誰も責任は取らない、それどころか、こうした政策につきものの関連業界団体は焼け太って、(それ自体が目的であるかと見まごうほど)天下り天国を招来しているのは周知の通りだ。

 世界に冠たるシンクタンクとしての優秀な霞ヶ関官僚群、という幻想からはそろそろ醒めて良い頃ではないか。多数を相手にして、資源を公平に、かつ清潔に配分する機構としてわが国の官僚機構は極めて優れている。(途上国は言うに及ばず、多くの先進国と比較してもわが国のそれは卓越しているといって良い)それ自体得難いことなのだから、ここはそこに留まって頂くしかない。出来もしないこと、させてはいけないことを一つでも多く官僚の手から奪い取り、いかに民の手に委ねるか、というのが真の脱・官僚ということだ。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会