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2011-11-24 19:53

(連載)オバマ政権の対中国包囲網づくりが始まった(1)

高畑 昭男  ジャーナリスト
 オバマ米政権のアジア太平洋シフトが本格的に始動した。それを如実に示したのが18~19日、インドネシアのバリ島で開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議だったと思う。バリ島を舞台にした一連の会合のハイライトは、東アジアサミット(EAS)だ。ASEANを含む18カ国首脳が一堂に会する場となり、とりわけオバマ大統領は初めての公式参加だった。日米などの主導によって、中国の強引な海洋権益拡大を牽制し、南シナ海の海洋安全保障に重点を置いた原則宣言を採択して閉幕したが、その結果は海軍力増強を背景に力づくで海洋権益拡大を進める中国をハードとソフトの両面で包囲していくオバマ戦略の発動といっていい。

 オバマ米政権による「アジア太平洋シフト」は、今年10月、クリントン国務長官が米外交誌「フォーリン・ポリシー」(11月号)に発表した「アメリカの太平洋の世紀」と題する外交論文に詳細に示されている。イラク、アフガン戦争の一段落を機に、米国の政治、経済、外交・安全保障の戦略的重点を本格的にアジア太平洋地域へシフトしていくということだ。発表当時、論文は国務省のメディア向け広報メルマガなどを通じて事前に世界に紹介されていった。さらに11月10日、ハワイで開かれたAPEC首脳会議に向けて長官がホノルルで行った外交演説でも、同じ内容を強調しているところを見れば、長官個人の見解というよりもオバマ政権の総意として「アジア太平洋シフト」を積極的に世界にPRする狙いが強くうかがえた。

 長官の論文は「世界の政治の将来を決めるのはアフガニスタンでもイラクでもなく、アジアであり、米国はその活動の中軸となる」という書き出しで始まる。太平洋~インド洋に至る広大な地域を一体の海洋戦略の文脈でとらえ、米国の外交、経済、戦略などの資源を集中的に投入していくと宣言した。米国は第二次大戦後の冷戦時代を通じて、大西洋で米欧諸国間に北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)、全欧安保協力機構(OSCE)などの包括的な安全保障協力や相互防衛、相互協力のためのネットワークを創設したり、その発展に力を貸して、確固たる米欧の協力システムを形成してきた。そうした歴史と自信、実績を踏まえた上で、米国と太平洋・インド洋を結ぶ地域にも同じように永続的な協力の網を構築する、という壮大な戦略である。

 その柱となるのは、「航行の自由」「開かれた自由貿易」「国際規範の尊重」などの原則であり、核拡散を阻止し(北朝鮮やイラン)、軍事的透明性を確保する(中国)。2国間(同盟)やマルチ(多国間)の多様なネットワークを構築・展開し、大西洋型の同盟、協力関係、地域機構による平和と繁栄の秩序の網を構築するという。(つづく)
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