国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2011-07-04 07:33

どうすれば辞める、その「傾向と対策」

杉浦 正章  政治評論家
 <クールビズ議員ますますアホの体(てい)>と、最近の朝日川柳はさえている。たしかに<ネクタイしてもアホの体>だから、外せばもっと始末が悪い。ネクタイをしなくなってから、日本の政治は本当にだらしがなくなった。首相もすぐに辞任に追い込まれる。ところが今回は、与野党のアホが集まっても、菅を降ろせない。それどころか「菅さんは敵の大きさに正比例して元気になる」と、側近が誇らしげだ。その通りに見える。周りは「敵」にびっしり囲まれ、アリの這い出る隙間も無くなったのに、敵のエネルギーを食って肥大する宇宙怪獣のように、日日元気になっている。すし→焼き肉→イタ飯と3軒はしごをして、これ見よがしに気勢を上げている。いまや自民党総裁・谷垣禎一が「まっとうな神経ではない」と述べれば、官房副長官・仙谷由人が「解散するほどまでにはおかしくなっていないと思うが」と首をかしげる。まるで異常者扱いだ。打つ手はないものだろうか。

 市民が<総理より瓦礫(がれき)のほうを片づけて>と言う気持ちも分かるが、総理を片づけないと、瓦礫も片付かないのだからしょうがない。7月4日付の読売の世論調査でも、72%が8月末までの退陣を望んでいる。昔ながらの受験本ではないが「傾向と対策」を練ってみよう。まずまっとうな神経ではない相手には、まっとうな対応では無理だ。ここは攻め口を変えてみてはどうか。菅は紛れもなく「管見(かんけん)」だ。視野狭窄(きょうさく)で、管(くだ)をもって天を窺う性癖がある。ちょっとやそっとでは直らない。まず精神を鍛え直すのだ。それには高名なる禅僧に頼んで世の無常観を植え付けるのだ。「盛者必衰」で、ときめくものも必ず衰えるときが来ると教えるのだ。人生「一炊の夢」の栄華のはかなさを説いてもらうのもよい。「生者必滅、会者定離」の無情を悟らせるのだ。しかし、菅は四国遍路で坊主の説教には慣れているし、すれからしの“ペテン師”には利かないかもしれない。<だんだんとペテン師らしくなってきた>と川柳で褒められているくらいだ。

 永田町のある会合では「これでは丑の刻参りしかない」という話に花が咲いた。殺したいほど憎い相手がいる場合に、その相手をワラ人形に見たてて、クギを打ち込みながら呪いをかけていくという、日本に古来からある呪術の一種である。丑の刻とは、深夜1時から3時まで。3脚の五徳を頭に逆さまにかぶり、その脚の部分にロウソクを3本立てて火をつけ、日本全国の同憂の士が、神社の杉の木に向かって金槌で五寸クギをわら人形に打ち込むのだ。ひそかに行わなければならないが、今回はテレビで同時多発を実況中継する。それを見た菅が腰を抜かして辞めるという夏の夜の怪談だ。しかし、菅が陰陽師に頼んで結界を組んで対抗したら、呪いをかけた方がやられてしまう。だから「人を呪わば穴二つ」というのが話しのオチだった。仕掛けた方も墓穴に入らねばならなくなっては仕方がない。

 最後の手段が、夫人伸子による説得だ。就任1か月後に「あなたが総理になって、いったい日本の何が変わるの」という本を出版したくらいだから、「首相になって日本が本当に変わった。悪くなった」と説得して、退陣を忠告してもらうのだ。1998年に不倫が発覚したときに、何と「脇が甘いのよ!!」と怒鳴りつけたくらいだから、きっとやってくれると信じたい。現在伸子が菅に「あなた辞めることはないわよ」とかばっているからといって、決して「女子と小人とは養い難し」などと言ってはいけない。しかし、誰が菅に鈴を付ける奥さんに鈴を付けるかが難問だ。それでは究極の手段、学校のいじめのようにシカト(無視)するしかない。もっとも、無視すればするほど、「しめた」とばかりに元気が出そうだからこれも利くまい。

 これでは<魑魅魍魎(ちみもうりょう)右顧左眄(うこさべん)して五里霧中>になってしまう。やはり「正解」は奇計、謀略を用いない正攻法の中にある。要するに菅は第2次補正予算案、赤字国債発行法案、再生可能エネルギー買い取り法案の「3法案をもって一定のメドとする」と公約している。「どうせ長引く」と高をくくっているに違いない。だから、その逆手を取って7月いっぱいで成立させてしまうのだ。野党も執拗に“言いがかり”をつけ続けると、民心が離れる時期に来ていると理解すべきだ。妥協して、修正してでも法案を始末すべきだ。成立させても辞めなければ「菅退陣」の「盟約」を結んだ幹事長・岡田克也、政調会長・玄葉光一郎、国会対策委員長・安住淳、参院議員会長・輿石東と官房長官・枝野幸男、官房副長官・仙谷由人の「6人組」が連快(れんぺい)辞任するのだ。早期退陣にはこれしか手はない。ここは2代続く“失政大王”を辞めさせられるかどうかで、民主党が生き延びられるかどうかの瀬戸際と心得るべきだ。それが出来なければ<永田町つけるクスリも底をつき>となる。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会