国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2011-07-01 09:23

異端児・河野太郎氏の言動が唯一の救い

入山 映  サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
 中国海軍は、昨年までは公海での艦隊行動に留まっていたのが、今年は堂々と日本の排他的経済水域(EEZ)や領海を通行してのデモンストレーションだ。どこまで刺激すれば、どんな反応が返ってくるかを試す、あの国の伝統的な行動方式だ。ほうっておいたら、関門海峡に中国潜水艦が出没しかねない。わが国の対応はといえば、中国の軍拡、冒険政策に対する態度表明は、もっぱら「米国にお任せ」のようだ。それはともかくとして、肝心の米国との安全保障関係についても、沖縄を巡って前の総理大臣がやってくれた壊滅的な信頼破壊行為の後始末が、未だに出来ていない。

 TPPも国内政局に隠れてさっぱり動きが見られない。東北地域の一次産業再生と結びつけて、新しい産業の構図を描くほどの知恵者は現れず、かくして農水省と結びついた農協利権は温存され、位置エネルギーは健在だ。「滅びへの途は易しい」という、先人の知恵を改めて評価したくなる。こと外交問題、安全保障問題については、誰がどのようなおカネをどんな機関(米国国務省、CIA等など)から受け取っているかを示す時限爆弾が、例のウィキリークスに埋め込まれている(と信じられている)から、政治家は言うに及ばず、学者・評論家も軒並み口をつぐまざるを得ない。あの膨大な資料を解析・解読する学者が現われないものだろうか。

 よって当たり障りのない「だから、言わないことではない」式のヒョーロンが幅を利かす。あたかも国土交通省が事故を起こした鉄道各社に「怪しからん、しっかりしなさい」と訓示を垂れ、社長が厳かな顔をして始末書を監督官庁に提出する、という例の儀式の再現の様な話だ。さらにさらに、懲りない人々は浜の真砂であることに、古今違いはない。これほどの原発被害の後始末さえ目鼻がついていないというのに、「安全だから、運転再開をしたい」とのたまう官僚がいるかと思えば、そのお先棒を担いだお粗末きわまりない大臣が現地に乗り込んで「説得」をなさるのだという。一頃は鳴りを潜めたかに見える官僚天国が、何のことはない大手を振って復活だ。

 異端児、奇人、変人と目された河野太郎氏の言動がにわかに正論のように聞こえるのは、こんな時代のなせる業だろう。考えてみれば、それが唯一の救いかもしれない。人事を巡るドタバタ騒ぎの中で、まともなことをおっしゃる復興担当大臣が出現したりするのだから、政局も棄てたものではない。それにしても、自民党参議院議員の一本釣りに、「ヒトの懐に手を突っ込むのは無礼だ」みたいに、とんがらかるのではなく、「わが党の人材がいかに豊富かの証明ですな」位のオトナの対応が、どうして自民党には出来ないのだろうか。「党派の枠を超えて難局に対峙する」というのなら、もともと離党したり、除名したりの騒ぎになるべきでもないだろうに。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会