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2011-06-21 07:30

これほどの首相の浅ましさは体験したことがない

杉浦 正章  政治
 体が半分にさけても生きているからオオサンショウウオを「はんざき」と言うが、首相・菅直人に例えては天然記念物の「はんざき」がかわいそうだ。むしろティッシュでつぶしたはずのクモが這い出すような、おぞましさを感ずる。菅を支持するのは、もはや「辞める必要ないわよ」とけしかけている夫人・伸子と、政界の潮流に逆張りだけで生きている国民新党代表・亀井静香くらいのものだが、菅は次から次に愚にもつかないテーマを考えついて、首相の椅子にすがろうとする。「見苦しい。もういい加減にせよ」と言うべき段階に入った。国民の政治不信を一身に背負っていることを自覚せよ。粘れるだけ粘ろうとする首相。「辞める」と同志をだまして不信任案を否決に導き、否決の後は「圧倒的多数で支持を得た」と居座る首相。経団連会長の米倉弘昌会長が「自分が言ったことをちゃんと実行しないと、若い人たちの教育上も具合が悪い」と語ったが、もう小学生にまで「嘘つき首相」で有名だ。教育者は当分この首相を「反面教師」として教育してゆくしかあるまい。

 大詰めに来て菅は、赤字国債法案と特例公債法案に加えて、「政商」孫正義の入れ知恵で再生可能エネルギー電気調達特別措置法案の成立までも条件に加え始めた。その結果会期は4か月という未曾有の長さになる。幹事長・岡田克也は口癖のように「会期延長と首相がいつ辞めるかは別の問題だ」と繰り返すが、菅を辞めさせる迫力もなく、空しく響くだけだ。いったい執行部は本気で菅を辞めさせる気があるのかということだ。大幅延長を菅の言うままの幅にするとなれば、菅の居座りを黙認することになる、と誰でも思う。自民党幹事長・石原伸晃が「4カ月間、首相の延命に手を貸すことはできない」と反応しても、無理はない。もちろん筆者が主張したように、新首相で与野党協調態勢がとられ、大震災対策が進展するなら、会期は通年国会でも良い。だいたい岡田も、政調会長・玄葉光一郎も、国会対策委員長・安住淳も、菅との「差し違え」に傾いていたではないか。それを「首相が『ご苦労さん』と辞表を受け取ったら終わりだ」などと怖じ気づいて「辞任せず」だという。この政局の構図は、菅との死闘の構図であり、けんかの仕方を知らない。やるのなら身を投げ出さなければ、ことは成就しないのだ。

 この破廉恥な菅の居座りは、どのような心理状態から出てきているのかと言えば、過去2回の“成功体験”が大きく作用している。粘れば“天祐神助”が生ずると確信しているのだ。一つは、自らの外国人献金の窮状を吹き飛ばした大震災。他の一つは、だまして成功した不信任案否決だ。「2度あることは3度ある」と菅は思い込んでいるに違いない。だから、寸きざみに延命を図ろうとしているのだ。同じ手口を狙って会期延長を実現し、批判を馬耳東風と聞き流していれば、いくらでも延命を図ることが出来るという心境なのだ。「図に乗る」と言う言葉は、菅のためにある。もう被災者のことなど口先だけで、菅の念頭にはない。そこにはただひたすら亡者のごとく権力にすがる浅ましい老人の姿があるだけだ。菅の「国会には『菅の顔だけは見たくない』という人が結構いる。そういう人たちには『本当に見たくないのなら、早くこの法案を通した方がいい』と言いたい」という、「ユダヤの商人」のごとき「取引発言」がその浅ましさを証明している。

 加えて、「脱原発解散」の脅しだ。自民党副総裁・大島理森が「こんな下品で下劣な総理をもって寂しい」と述べているが、筆者も、半世紀日本の政治を見てきて、これほどの首相の浅ましさは体験したことがない。よく半年続いた「三木降ろし」に例えられるが、三木にはまだ「ロッキード疑獄解明」という大義があった。菅には大義がない。大震災は菅がいては復旧・復興の妨げになるだけであり、菅が無理矢理大義にこじつけようとすればするほど、マイナスに働く。2代続いた失格首相と降ろすにおろせない執行部の体たらくは、大局から見れば、そもそも国民が民主党に政権を取らせたこと自体が失敗だったと言わざるを得まい。一刻も猶予のならぬ大震災対策を推進するためにも、菅は潔く退陣して、遍路に出よ。それも四国遍路では道がけがれる。「菅発のエネルギー危機」を回避するため、各地の原発を回り、「原発再稼働の遍路」でみそぎをせよ。

 
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