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2011-04-24 18:27

率先垂範以外に民主党起死回生の途はない

入山 映  サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
 このところの震災被害と原発事故で、その余のことはすっかりひとびとの関心から遠ざかってしまった。が、耳目に触れようが、触れるまいが、問題の数々が依然として存在し続け、その重要性あるいは緊急性がいささかも喪われていないのは、いうまでもない。とかく評判のよろしくない菅首相だが、過日の国会答弁で震災復旧と財政再建が彼にとっての二大課題であることを明言した。「忘れてはいませんよ」というだけのことだ、と辛口の方もいらっしゃるだろうが、先ずは評価して良い発言だと思う。

 震災復旧予算それ自体が財源問題に逢着しているように、全てのことがらは、帰するところ「財政赤字をどうする」ということに尽きるようだ。流石に「インフレでチャラにすればよい」などと威勢のよいことをいう人は少なくなったが、「赤字恐るるに足らず。気にしない気にしない」式の論客は、手を替え、品を替えて、あちこちに存在している。確かに単年度財政赤字が対GDP比で2桁を超えるアイルランドやギリシャ、スペインに較べれば「6%に過ぎない」と論じる人もいる。諸外国のように借金先が外国ではない、というのも悪いニュースではないだろう。しかし、累積赤字が1年のGDPに匹敵するというのは、今更いうまでもなく、軽視すべきことではない。頑強に「大きな政府」に拘泥していたかに見えるオバマ米大統領でさえ、富裕層への課税強化を引き換えに、共和党の「小さな政府」路線との妥協を図った。わが国の民主党が、ばらまきマニフェストを引っ込めるどころの話ではない筈だ。

 「議員定数や公務員給与削減はシンボリックな意味しかない」という人もいるが、先ずそこに手を付けなければ、施策の真剣味が伝わらない、という意味では、優先度が高いというべきだろう。ところが、それが現在微温的な対応に堕していることは、衆目の認めるところだ。いづれ消費税を核とした増税が必至なことは、おそらく国民の大多数が理解している。ただ同時に、削減予算の多寡は別にして、天下り天国、税金の無駄遣い、さらには構造的腐敗ともいうべき既得権益に、徹底的にメスを入れるのが先だろう、というのも理の当然だ。これをカッコ付きの「庶民感情」だと蔑視するのは、いかにも不当だというべきだろう。

 あの事業仕分けで槍玉に挙がった事案の全てが全て合理的であった訳ではない。それは例の津波対策ひとつをとってみても明らかだが、だからかといって、事業仕分けそのものをコケにしたような焼け太りが許されてよいというものでもない。まして、外郭団体の想像を絶する腐敗ぶりは、公務員の廉直なイメージが虚構であったことを余すところなく摘出している。などというと、「オトナの議論」として、「水清ければ」のたとえが持ち出されたり、摘発される小悪の財政的意義は知れていると抗弁する御用学者が存在するのも、また事実だ。改めていうまでもなく、位置エネルギーは途方もなく強い。しかし、それを打破するところにしか、民主党政権起死回生の途はないと思うのだが。
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