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2011-01-17 21:40

第二次菅改造内閣の空転を憂う

入山 映  サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
 第二次菅改造内閣なるものが発足した。どう強弁しようとも、参議院の問責決議に対応した内閣改造である。問責決議にいちいちとりあって閣僚を罷免していたのでは、政治が立ちゆかない。西岡参議院議長の発言に揺さぶられたとすれば論外である。「問責決議にも関わらず留任しているのはおかしい」といって、開会しなかったり、審議拒否をするというのならば、「どうぞご勝手に」という訳にもゆかないだろうから、誠意を尽くしたポーズは必要だろうが、有権者がどちらの言い分を「もっとも」とするかについて、もう少し自信を持って対応すべきだった。のたれ死にが嫌ならば、せめて筋を通して討ち死にした方が、またというメもあろうというものではないか。

 政治家としての大局的判断といえば、ことに及んでの発言や行動について、これほど政治的感覚のない人も珍しいと思うのが与謝野馨氏だ。財政問題を中心とした識見の豊かさでは有数の人材だと承るが、この人の言動は、かつての消費税問題から最近の老人の集団家出、さらには今回の入閣に至るまで、およそセンスがない。「センスがない」のを通り越して、政治家としての出処進退を「弁えていない」としかいいようがあるまい。それを棚に上げて「与謝野氏個人の問題に関わるあまり、政策論議に入らないというのはおかしい」と強弁するに至っては、ほとんど滑稽としかいいようがない。

 こうした菅内閣の失態を野党が咎めているかといえば、うかれて首相の問責決議案を出すだの、それで解散総選挙に追い込むだの、としかいえないというのだから、「この国の政治状況は、いやはや」というところか。まあ、解散総選挙に「追い込む」というのは枕詞のようなものだからよいとしても、政策で対立案を示して、どちらに政権担当能力があるかを示す、という王道を忘れてはいないか。抱きつかれるのが嫌だ、政局に波乱を起こせなくなるからダメだ、というのでは、政治家としての最低限の義務を果たしているとはいい難い。任期満了までは「石にかじり付いても、解散などしない」というのが見え見えであってみれば、その間「ねじれ」は続く。その間中「断固対決」「国会空転」以外の知恵がないというのでは、野党も先が見えた。

 ついでに言えば、いまだに非・民主主義的行動をとり続けている小沢氏とそのお取り巻きにかかずらっている暇はない。たとえそれが小沢氏一派にとって思うつぼであろうがなかろうが、要は「政治家に不適格な人がもう一人現れた」ということで、もう解決済みにすべきだ。「糞土の墻は塗るべからず」というのは、小沢一派の論理と議論をすることの虚しさ、と解釈しても良い。
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