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2011-01-13 07:40

菅、ようやく入口には到達したが、出口は依然見えず

杉浦 正章  政治評論家
 どうやら首相・菅直人は通常国会入口のパスポートだけは入手できることになったようだ。民主党両院議員総会でのガス抜きが終わり、対野党対策では菅も「仙谷切り」の本性をあらわにしたようだ。国民向けには「小沢切り」でアリバイが成立する。しかし一連の布石は、全部が全部菅自らにはね返るものであり、求心力どころか、遠心力がこの政権の行く末を左右しようとしている。とにかく、1月12日の両院議員総会における親小沢グループの発言は、執行部にドスを突きつけるような迫力はなく、統一地方選挙に向けての悲鳴のようでもあり、ヒステリー女の金切り声のようでもあった。

 “風”で当選した小沢チルドレンの置かれた立場がありありと分かる。20人の発言のうち8割が親小沢、うち14人が新人の発言であった。「選挙区でそれぞれの議員が民主党への憎しみを投げつけられている」「パンフレットを破られ、ものを投げつけられる」と言った発言からは、ようやく自らの存在が“バブル”であったことに気づいた、そのいら立ちの声とも聞こえる。地方選惨敗不可避の潮流を感じさせるに十分であった。菅が「日本がもう一度元気な国になったきっかけが、あの2009年の衆院選の政権交代だった、と言えることを確信しながら、自信をもって前に進んでいこう」と鼓舞しようとしても、小沢チルドレンにとっては、栄光のあとの大挫折の現実をひしひしと感ずるだけの、虚ろな言葉と受け止めただけであろう。

 そもそも小沢が両院議員総会での突き上げを意図したのを、幹事長・岡田克也が逆手にとって総会を開催した経緯があるが、このチルドレンらの叫びは、出席した小沢にとっても相当のショックであったはずだ。毎日新聞によると、小沢は同夜、焼き肉店で側近議員らと会食し、「統一選は大変だなあ」と漏らしたという。こうして、菅は民主党の置かれた現実をまざまざと眼の前にしながら、一応ガス抜きは成功したと判断し、内閣改造に着手する。毎日新聞などが「仙谷を更迭しないのではないか」と報じていたが、予想通り菅は官房長官交代に踏み切る。しかしこの「仙谷切り」は菅にとって両刃の剣となる。というのも、野党の要求に屈して「問責イコール辞任」の手口を与えることになるからだ。

 通常国会の入口を入ることに成功しても、出口で首相問責決議案を可決されたらどうなるかだ。野党はおそらく統一地方選挙にぶつける形で問責決議を成立させようとするだろう。問責可決に統一地方選の惨敗が重なった場合には、菅は塗炭の苦しみに置かれることになる。責任論が台頭し、居座るも地獄、退陣するも地獄、解散するも地獄、のまさに生き地獄だ。一方「政治とカネ」の“内憂”も何ら進歩していない。岡田は「政倫審で小沢招致を議決する」と息巻いているが、本質を見極めるのに鋭いマスコミが、法的拘束力もない議決をしても褒めてはくれない。「アリバイ作りに過ぎない」と反応するのは、目に見えている。出席しない小沢への批判はもちろんだが、形だけの議決をしても意味はないのだ。また予算委員会審議でも閣僚発言などを巡って大きな陥落が待ち構えている気がしてならない。菅にとって、何と長い2か月間であることだろうか。入口への突破口は何とかこじ開けたが、トンネルの先に鬼が待つか、蛇が待つか。とにかく百鬼夜行である。
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