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2010-11-05 07:49

米ロ初参加で浮上する東アジア・サミット(EAS)

石垣 泰司  アジアアフリカ法律諮問委員会委員
 10月28日より30日まで本年のASEAN首脳会議および関連する一連のサミットがハノイで開催されたが、その中で、2005年に発足し、今回5回目を迎えた東アジア・サミット(EAS)において、いくつかの注目すべき新たな展開がみられたので、これらの動きを指摘しておきたい。

 1.米国とロシアが2011年より東アジア・サミットの正式加盟国となることが決定され、明年以降両国首脳が同サミットに出席することとなったことである。すでに今回の会議にも、特別ゲストとしてクリントン米国務長官およびラブロフ・ロシア外相がフル参加した。
 2.その結果、東アジ・アサミットは、設立以来ASEAN+3首脳会議と大同小異で、独自性の希薄な存在とみられがちであったのが、今回より米ロをはじめとする18カ国体制となったことにより、ASEAN+3に劣らぬ重みをもつこととなった。すでに、「全参加国が東アジア・サミットを今後さらに強化していくことに合意した」とする「5周年記念ハノイ宣言」が採択された。
 3.今回の東アジア・サミットにおいては、従来比較的低姿勢で参加してきたインド、豪州、ニュージーランドが教育、災害対応等についていくつかの具体的提案を行うなど、一段と積極的な貢献の姿勢を示した。
 4.東アジア・サミットが取り組む優先的地域協力分野として、(1)金融、(2)教育、(3)エネルギー、(4)災害マネージメント、(5)鳥インフルエンザの5分野が特定され、これらの分野における協力について具体的な進展がみられた。
 5.ASEAN+3と東アジア・サミットの関係については、前者が東アジア共同体の構築という長期目標達成に向けての主要な手段(a main vehicle)であるのに対し、後者は「東アジアの平和、安定、繁栄の促進を目的とした広汎な戦略的共通の政治経済問題についての対話と協力のフォーラム」であることが確認された。
 6.今般のASEAN首脳会議および関連サミットでは、予想された通り、南シナ海問題が重要議題として取り上げられたが、今回の東アジア・サミットでは、事前に中国側がASEAN各国に対し同問題は、個々の2国間問題であるとして発言を牽制する根回しをしていたにもかかわらず、米国が以前よりASEAN諸国に積極的な発言を慫慂していたとされたこともあり、ASEAN側で少なからざる国が南シナ海問題に言及し、中国とASEANが紛争回避へ「行動宣言」の実効性を高める指針づくりで合意したことが歓迎されるなど、活発な論議が行われた模様である。

 なおロシアは、今回ハノイで、メドベージェフ大統領が出席して、第2回ロシア・ASEANサミットを開催し、対ASEAN協力を重視している姿勢を示した。他方、米国は、9月ニューヨークにおいてオバマ大統領出席の下に第2回米・ASEAN首脳会議を開催したのに引き続き、クリントン長官が10月28日ホノルルにおいて包括的政策スピーチを行い、米国の今後の対東アジア重視、対ASEAN地域協力推進の基本姿勢を改めて明らかにしてから、ハノイでの東アジア・サミットに臨んだ。米露それぞれにASEAN重視の姿勢を強めていることが注目される。
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