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2010-10-09 11:31

尖閣の領有権よりも日中経済関係の正常化を

若林 洋介  学習塾経営
 民主党の原口一博議員や松原仁議員など、松下政経塾出身の政治家の最近の言動を見ていると、やたらに「国家の意志」なる言葉を大上段にふりかざして、対中国強硬外交を主張しているようである。私は、彼らの「国家の意志」を強調しようとする立場に対して、「国民の願い」という視点に立って反論を試みたい。「国家の意志」を前面に打ち出している政治家の言動を見ていると、「尖閣諸島は日本固有の領土だ」「尖閣諸島における日本の国家主権をしっかり確立すべきだ」「中国人船長の釈放は、日本外交の敗北だ」「中国人船長の釈放に抗議する」というものである。

 しかしながら、私は、日本国民の本当の願いは、そこにあるとは思わない。むしろ、日本国民の願いというものは、「尖閣諸島の領有権をめぐってのゴタゴタや、国家主権の意地の張り合いは、いいかげんにして、一日も早く、日中両国間の経済活動の停滞状況を解消し、正常化してもらいたい」ということにあるのではないのか。また「日本人人質の解放」こそ、最優先すべき課題であり、留守家族の最大の願いであろうと思われるのだ。また、このたびの民主党政権による日本入国規制緩和策に伴って、中国人観光客の招致に期待をかけている地方経済にとっては、日中間の経済交流の推進に期待するところも大きいのだ。各地域においては、姉妹都市提携や、姉妹校(小・中・高)提携による、相互交流も盛んになって来ている。他方において、日本旅行を楽しみにしている中国人観光客も多いはずだ。日本政府の雇用拡大政策にとっても、中国人観光客の増大は、不可欠の要件となっているのではないか。

 私がもっとも納得がいかないのは、「国家の意志」を強調し「毅然たる態度」を主張している日本の政治家たちの中の誰一人として、(中国政府に対して)「断固として日本人人質の即時解放を要求する」
という声明を出した政治家がいないということだ。まさに中国政府の報復措置に対してこそ、「毅然として釈放を要求する」ことこそが、日本の政治家の務めなのではないのか。それこそが、「国民の願い」であり留守家族の切実な願いではないのか。

 「国家の意志」を声高に叫ぶ松下政経塾出身の政治家たちよ、あなたたちは、政治家として、本当に「国民の願い」がどこにあるかが、まるでわかってはいないのではないか。人質状態にある日本人家族が、どんなに切迫した思いで日本の政治家たちに、期待をかけているかが、まるでわかってはいないではないか。これらの留守家族の切実なる願いを、そして日々の生活の糧を得るために、日中間の経済交流の発展を切に望んでいる、本当の「国民の願い」を忘れたところで、「国家の意志」を大上段にふりかざすことは大きな勘違いというものだ。
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