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2010-10-05 07:15

不気味さただよう小沢氏の今後の出方

花岡 信昭  拓殖大学大学院教授
 予想されてはいたのだが、本当に出てみると、やはり相当なサプライズだ。小沢一郎氏がついに「強制起訴」されることになった。あれこれ言いたいことはあるが、公判開始までにどの程度の時間が必要なのか。そこがひとつのポイントだ。早ければ年内という説と、来年になるという説がある。小沢氏とすれば、公判がスタートしてしまうと、やはり政治行動は制約されるだろう。となれば、それまでに動くか。これまで、奈落の底に突き落とされたように見えたのが、次の瞬間にはむくっと起き上がってきたのが小沢氏だ。その「小沢神話」もここで終焉を迎えるのか、どうか。

 菅首相としては、どう対応するか。小沢氏が単独で離党なり、議員辞職なりしてくれれば、民主党の支持率はアップするに違いない。だが、代表選で小沢氏に投じた200人の存在がある。最後まで小沢氏についていくのは、どう見積もっても50人といった見方もあるが、いずれにしろ、離党、新党、政界再編といったダイナミックな動きに出られると、菅首相も打つ手がない。小沢氏は代表選を「最後のご奉公」と位置づけていた。最終戦争というわけだが、最終の後にもう一度、「再最終」があるのかどうか。長年、小沢氏の政治行動を見続けてきた立場からすると、これで終わるとは思えない。

 裁判の行方も微妙だ。検察は当初、「ゼネコン疑惑」のシナリオを描いたのだが、立証できなかった。
だから、政治資金規正法違反にとどまった。改めて指摘しておかなくてはならないが、小沢氏が問われたのは、逮捕された元秘書たちとの「共犯」であるかどうかという点だ。収支報告書への記載を指示したのかどうかということだが、これも検察は立証できなかった。そう考えると、「無罪」の可能性は大いにある。最高裁までいくだろうから、確定まで数年はかかるだろう。

 この間は「推定無罪」の原則が適用される。小沢氏次第だが、政治的に動こうと思えば、これまでと同様の立場だ。検察審査会が「庶民感覚」を反映した結論を出したのは確かだろうが、司法の場では次元の異なる厳密さが要求される。とかく説明不足で終始してきたのが、小沢氏の弱点だ。そのツケが一気に押し寄せることになるのだが、司法判断となると、別の要素が入ってくる。「離党せよ」「議員辞職を」と、叫ぶ側が声高になればなるほど、小沢氏の今後の対応に不気味さもただよう。
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