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2009-12-12 12:51

(連載)中国マクロ経済政策の方向性2010~2016年(1)

関山 健  東京財団研究員
 12月7日、中国指導部が翌年のマクロ経済政策の基本方針を話し合う「中央経済工作会議」が3日間の日程を終え、今年の基本方針である「積極的な財政政策」と「適度に緩和的な金融政策」を来年も継続する方針が決定された。「積極的な財政政策」と「適度に緩和的な金融政策」の長期継続は、健全なマクロ経済政策ではないが、いまだ金融危機の影響により世界経済が完全には回復しきれていないなか、中国としても当面は景気対策を重視する姿勢を鮮明にしたわけだ。

 一方で、同会議では「来年の経済活動の重点は発展方式の転換にあり、内需の拡大、特に住民の消費拡大を重点に、都市化プロセスを推し進め、産業構造を健全化し、経済構造の調整を図っていく」との方針も確認されたという。すなわち、足元の景気対策に万全を期しながら、世界経済の変動に強い内需主導の安定的な経済成長を実現するための構造改革を急ぐ考えだと言えよう。こうした方針に基づき、会議では、来年の経済活動における主要任務として次の6項目が挙げられたとされる。

・マクロ調整を強化し、経済の安定的かつ比較的速い発展を維持する。
・経済構造調整を強化し、経済発展の質と効率を高める。
・「三農(農業、農村、農民)」の発展の基礎を打ち固め、内需拡大の余地を広げる。
・経済体制改革を深化させ、経済発展の原動力と活力を強める。
・輸出の安定した成長を促し、国際収支の均衡を図る。
・民生の保障と改善に力を入れ、社会の安定を全力で維持する。

 改革開放以来の30年間、中国の高成長を牽引してきたのは都市化に伴う内需であり、外需は経済成長率を上積みするボーナスだったが、知らず知らずにこのボーナスに頼った産業構成や経済構造となってしまっていた。その結果、今年1-8月に中国の輸出が対前年比で-22%まで落ち込むと、経済成長率も今年第一四半期には6.1%と、08年第一四半期の10.6%から4.5ポイントも低下してしまった。過度に外需を頼った歪みが今回の世界金融危機に伴う輸出の急ブレーキで露呈したのである。(つづく)
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