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2009-10-05 07:34

鳩山「疑惑献金」は脱税にたどりつく?

杉浦正章  政治評論家
 これまでの明るさが打って変わったように暗く固い表情であるのに気づいたのは、筆者だけだっただろうか。9月2日のオリンピック・プレゼンテーションでの首相・鳩山由起夫である。何かあるとピンと来たが、案の定翌日の夕刊で「東京地検、鳩山献金捜査に着手」の見出しが躍った。政治記者が政治家の表情を読み取るのは、取材のイロハだ。もちろん鳩山はマスコミに先んじて地検の動きの報告を受けていたに違いない。法皇・小沢一郎が虚偽献金発覚当時、鳩山の性格を「くよくよ気にしすぎるタイプ」と形容したが、まさにプレゼン会場で表情に出してしまった。それほどショックだったに違いない。場合によっては「首相の犯罪」に直結しかねない重大性を帯びた問題の幕開けだ。告発を受けた検察が、これまで問題を放置してきた理由がどこにあったかはともかくとして、着手したからには正義のとりでのメンツにかけても、中途半端な決着は許されない。東京新聞の5日朝のスクープは「調査の弁護士、参考人聴取」とあり、いきなり核心を突いた形だ。おそらく秘書のせいにして逃げられるとの判断をアドバイスした弁護士だろう。「故人献金」とやゆされた問題の政治資金規正法違反は、誰の目にも明らかだが、問題をせんじ詰めれば“脱税”に行き着くかどうかだろう。

 事件の概要をもう一度整理すると、柱は二本ある。一つは鳩山の資金管理団体が報告した、2008年の個人献金者69人のうち55人の寄付、合計406万円が実際には存在しなかったことだ。「故人献金」など虚偽記載であったのだ。これは政治資金規正法に触れる重大な違法行為である。もう一つは鳩山の資金管理団体が2008年までの6年間に5万円以下の匿名の個人献金を約2億5千万円集めていたこと。5万円以下は申告の必要はないことから、これもねつ造献金である疑いが濃厚であることだ。そして犯罪者の行為には語るに落ちる失敗が度々あるものだが、鳩山虚偽献金の場合も重要な“ミス”が露呈されつつある。それは総務省が「故人献金」などに交付した所得税控除の証明書を返還するよう、資金管理団体「友愛政経懇話会」を指導したのにもかかわらず、これに応じていないことだ。なぜ応じていないのだろうか。筆者は応じられないのだと思う。証明書が控除に使われていれば脱税となるのは目に見えている。にもかかわらず返却しないのは、既に使ってしまって返却できないのだろう。そうなれば立派な脱税行為となる。

 鳩山は当初からすべてを経理担当秘書の責任にしてきた。みずから「説明責任を果たした」とする言葉の中に「私への個人献金があまりに少ないので、秘書はそれが分かったら大変だとの思いがあったのではないか」と述べているが、これも語るに落ちた。個人献金の8割が虚偽献金であったことは、巨額の政治資金報告の内容が“構造的”に毎年うそで固められていたことを証明しており、これを政治家が関与していないと見るのは不可能だ。だいたい「個人献金が少ないから分かったら大変」などという発想を秘書がするわけがない。むしろ秘書は政治家側からの指示通りにやっていたと見るのが常識であろう。だいたい虚偽記載部分を「首相個人の貸付金」と訂正しているのだから、その「貸付金」なるものがどこから出て来たかも不審であろう。

 このように「鳩山故人献金」はその悪質さからいっても、小沢の第1秘書による献金虚偽記載事件にまさるとも劣らない性格を帯びている。前官房長官・町村信孝は鳩山について「この選挙が終わって捜査が始まれば、ほぼ間違いなく有罪になる。私の知っている東京の法律関係者は100人が100人、『あれは有罪になる』と言っている」と断言している。問題は、鳩山がこれだけの疑惑が鮮明になっている問題で説明責任を果たせるかどうかだ。26日召集見通しの臨時国会における最大の焦点の一つとなることは避けられまい。マスコミの反応も総じて手厳しい。全国紙も“親鳩山路線”の朝日、毎日以外は社説で「架空個人献金、首相は改めて説明すべきだ」(読売)「首相虚偽献金、疑惑を晴らす責務がある」(産経)「政治資金 『国民の目』常に意識を」(東京新聞)などと論陣を張っている。テレビは政権べったりのテレ朝・サンデープロジェクトの司会が、コメンテーターに「この種の問題は重い軽いがあるが、そんなに重くないと見ている」と歯の浮くようなお追従発言をさせているが、これはジャーナリズムではない。 
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