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2009-07-15 07:42

自民党は“主敵”を見定めよ

杉浦正章  政治評論家
 賽は投げられたにもかかわらず、自民党はなぜ一刻も早く総選挙の戦闘モードに突入しないのか。執行部は受け身の対応ばかりしている。絶好の「鳩山疑惑」を突いて一点突破するしかないのに、見逃しの三振で、ベンチの中のつかみ合いばかりに目を向けている。反麻生の動きなどは、民放テレビが大げさに報道するほどのものではない。毎日新聞に社説で批判されているように、たかが知れている。「麻生おろし」は失速して、実現に至らないのである。反麻生グループも目を敵陣に向けるべき時ではないのか。最近の政治家の表情で一番印象的だったのが、民主党代表・鳩山由紀夫の“冷笑”だ。不信任案提出に当たって、「麻生さんを助けるため」と冷笑したのである。都議選圧勝を背に受けてのことであり、“大笑”をこらえるのに精一杯で、ゆがんだ冷笑となったのだろう。

 しかし、その笑いの背景には、自分の虚偽献金にもかかわらず、都議選に大勝した、有権者の選択は献金疑惑を度外視している、というほっとした気持ちがあるのが分かる。これを「猿の尻笑い」という。自分の欠点に気づかず他を笑うことだ。解散日程が定まった以上、自民党執行部は“主敵”がどこにあるかを見定めなければならない。反麻生の動きは、主敵とはいえない。その力もない。本会議で麻生不信任案に否決の票を投じ、“軽蔑”のヤジを浴びたたことで、中川秀直、武部勤の尻は割れている。中川と加藤紘一が密談しても、智恵は出まい。地方選挙の総括など、総選挙の総括と一緒にやればよいことだ。毎日の社説で「不満を麻生降ろしに連動させるのは、やはり筋違いだ」「分裂選挙するなら新党結成に踏み切らなければ、国民の理解は得られまい」と手厳しく叩かれている。

 古賀誠の無責任きわまりない選対委員長辞任についても、執行部は憶測を野放しにしている。民主党国対委員長・山岡賢次あたりに「麻生、細田、大島に選挙日程を決められ、ふざけるなと辞めた」と“下種の勘ぐり”をされたり、「麻生おろしの先鞭」などと朝日新聞の解説委員長にコメントされたりしている。古賀辞任の本質は、まぎれもなく東国原担ぎ出しの大失敗にあるのだ。本人も認めている大失策なのだから、公式見解で「東国原問題の反省で辞任」とすればよいことなのだ。別に辞めて貰っても選対委員長ぐらい差し替えればよいではないか。自民党はこうした周辺のゲリラ戦に目を奪われて、受け身の対応ばかりしている時ではなかろう。主敵との関ヶ原の戦闘モードに即時転ずるべきだろう。国会にしても民主党は明らかに「鳩山隠し」の姑息(こそく)な審議拒否を目指して問責決議を成立させている。

 この審議拒否に応じていること自体が、受け身の証拠である。衆院で鳩山疑惑解明の本会議決議をするなど、対応はいくらでもある。民主党抜きで予算委や政倫審を中心に解明を展開すべきだろう。鳩山の冷笑を放置しておくことはない。この時点で国会を数日でも空白にしておくのは、完全に野党ペースにはまっていることを物語る。また解散宣言をした以上、選挙戦は始まったのであり、街頭で鳩山献金疑惑を訴えたり、例えば「鳩山疑惑糾弾全国大会」などを各地で展開させて「政治資金規正法を根底から覆す前代未聞の重大な問題」(細田博之)と、その解明を訴えるべきではないのか。自民党反麻生グループも本会議の投票で青票を投じて“自民党除名”を回避した以上、未練がましく「麻生おろし」などしているときではない。選挙区での「自分おろし」を危惧(きぐ)するときだ。
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