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2009-06-24 10:27

(連載)東アジアに求められる「痛み分け」の論理(2)

矢野 卓也  日本国際フォーラム研究員
 現代は、「有限性の世界」である。「右肩上がりの成長」「無限のフロンティア」「飽くなき自由の追求」などといった近代世界を支えた通念が大きく崩れようとしている。我が国にしても、過去、近代化の過程で、自らの持つさまざまな(時として相矛盾する)価値の間でたくみに取捨選択をし、優先順位をつけてきたことで、大いなる成功を収めたものの、いま新たな時代状況への適応を迫られつつある。

 すなわち、我が国のもつ価値体系を、今一度組み替える段階にきているということである。他方、「有限性の世界」では、日本や他の先進国が過去に辿った、がむしゃらな発展の道を、今後途上国がそのまま邁進することは許されない。さりとて、彼らの発展の希求をないがしろにはできない。したがって、そこには地域レベルでの「痛み分け」の論理が必要となってくるのではないだろうか。

 「互恵的」な話には、どの国も乗りやすいが、「痛み分け」の話は敬遠される。しかも、発展レベルが多様な東アジアで、先進国から途上国への提案となれば、なおさらである。かつて冷戦の頃、東側の国々、つまりソ連をはじめとした共産圏は、南北問題は資本主義国の責任領域であるとして「我が方関知せず」という態度をとったことがあった。「南」の困窮は「西」の帝国主義的搾取の産物というわけである。

 それから数十年、「西」も「東」もなくなったが、「南」も「北」もそれほど自明な区切りではなくなった。「有限性の世界」の趣きが強まった現在、もはや様々な地球的問題を特定の国家群の責任領域として押し付けて、事足りる時代ではなくなった。「もったいない」の精神もさることながら、東アジアにおいて、「共存共栄」と「痛み分け」は表裏一体であること、そのことを忍耐強く訴え、共通の認識として定着させることが、我が国の使命ではなかろうか。(おわり)
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