国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2009-06-10 19:50

社民との連立が民主党政権のネックに

花岡 信昭  ジャーナリスト
 民主党が次の総選挙で勝った場合、社民党、国民新党などとの連立政権になる。これは、たとえ民主党が単独で過半数を得たとしても同じだ。参院で民主党は単独過半数には達していない。社民党などの助けがあってはじめて「野党多数」となる。したがって、衆参のねじれを解消し、国会運営を有利に進めるうえからも、社民党などとの連立が必要になるのである。

 社民党の福島瑞穂党首は6月6日のテレビ東京の報道番組で、衆院選の結果、民主党中心の連立政権に加わる条件として、憲法改正を阻止するため衆参両院の憲法審査会の議論を進めないよう求める考えを示した。このほか、(1)自衛隊を海外に派遣しない、(2)製造業派遣禁止などの労働者保護法制を強化する、などを例示した。同時に「野党連立には前向きだが、この政策は譲れないという点をきちんと整理しないといけない」と強調し、民主、国民新両党の衆院選に向けた積極的な「共通政策」づくりには、「社民党は社民党のマニフェスト(政権公約)を掲げて、選挙を戦い、議席増を果たす」と距離を置いた。

 憲法審査会反対、自衛隊の海外派遣反対、労働者保護法制強化の3点が連立協議の条件ということだ。政権交代可能な2大政党制を考えた場合、とりわけ外交安保政策で水と油では、政権交代はあり得ない。かつて、村山「自社さ」政権誕生のとき、当時の社会党は、自衛隊違憲、日米安保破棄といった基本政策を一夜にしてひっくり返した。首相は自衛隊の最高指揮官なのだから、自衛隊の存在を認めない立場の人が首相をつとめることなど、できるわけがない。その当時に比べ、福島党首の発言は控えめとはいえるが、こういう社民党と一緒にやらなくてはならないとするならば、民主党中心の連立政権は危うい。

 まあ、この3点が連立の基本条件というのであれば、巧みに政策協定の作文をつくりあげるのは可能だろう。小沢前代表も、自衛隊の海外派遣に反対した。だから、党内の旧社会党出身者たちとも連携をはかることができた。自民党内にも護憲論者はいるが、政治的なパワーは持ち得ていない。だから放っておいてもだいじょうぶなのだが、社民党が加わった民主党中軸連立政権だと、社民党がひっかきまわす恐れなしとしない。民主党側が社民党の意向を最大限に尊重してやらないといけないことになる。どうせ数は少ないからたいした影響はないなどと思っていると、とんでもないことになりかねない。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会