ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2026-04-19 00:00
(連載2)イラン軍事作戦におけるアメリカCIAの「影の戦争」
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
さらに戦慄すべきは、イラン指導部への「浸透」の深さです。CIAは、政権中枢や軍の幹部クラスに対し、金銭や権力だけでなく、彼らの家族や過去の秘密を盾にした、逃げ場のない「運命の罠」を仕掛けていると言われています。政府の重要会議で交わされる密談は、その数分後には大西洋を越えてホワイトハウスのデスクに届けられ、イランが放つミサイルの軌道は、発射ボタンが押される前からすでに米軍のシミュレーター上で完結しているのです。
彼らはまた、物理的な破壊工作においても、痕跡を残さない「目に見えない暗殺者」としての技術を研ぎ澄ませています。謎の爆発や技術者の失踪、さらには最高指導層の周囲で相次ぐ不審な出来事は、すべて彼らが書き換えた「シナリオ」の一部であり、イラン当局がどれほど警戒を強めても、自らの影の中に潜むスパイを見つけ出すことは不可能に近いでしょう。アメリカの情報部は、もはやイランの隣にいるのではなく、イランという国家そのものの「内側」から、その寿命を少しずつ削り取っている支配的な寄生体へと変貌を遂げているのです。「影の戦争」が実際の軍事作戦に及ぼす影響は、もはや戦場を「物理的な破壊の場」から「認識の迷宮」へと変貌させてしまいました。かつての戦争が兵器の数や火力の強さで決着していたのに対し、現代の不可視の戦いにおいては、敵の司令官が下す「決断」そのものが、あらかじめアメリカの諜報機関によってプログラムされた選択肢の中から選ばされているという、恐るべき逆転現象が起きています。
軍事作戦の全行程において、最も致命的な影響を与えるのは「確信の喪失」です。前線の部隊が受け取る命令や、レーダーに映し出される敵影、さらには味方からの通信さえもが、CIAが仕掛けた偽情報の断片かもしれないという疑念が毒のように軍内部に回ります。これにより、本来ならば一瞬で下されるべき攻撃判断が数秒遅れ、そのわずかな空白が、アメリカ軍による一方的な殲滅を許す決定的な隙となります。イラン軍のような強固な組織であっても、自らの目と耳が信じられなくなった瞬間、巨大な軍事機構はただの動けない巨像へと成り下がるのです。また、この「影の戦争」は、実際の弾丸が飛び交う前から勝敗を確定させてしまう力を持っています。情報部が敵のサプライチェーンや燃料供給システムに密かに潜入し、ソフトウェアのコード一行を書き換えるだけで、いざ実戦となった際に戦車は沈黙し、ミサイルは発射台で自壊します。これは軍事作戦における「摩擦」を人為的に、かつ最大化して作り出す行為であり、敵軍は戦う前に自らの武器に裏切られるという絶望を味わうことになります。
さらに、これらの工作は戦場での勝利だけでなく、戦後の統治や国際世論までをも自在に操作します。救出作戦の最中に意図的に流される「加工された真実」は、敵国内の不信感を煽り、軍内部でのクーデターや造反を誘発する引き金となります。実際の軍事行動は、もはや巨大なチェス盤の上で行われる儀式に過ぎず、その駒を動かす手は、戦場の遥か外側にある暗い部屋で、冷徹に計算を繰り返すスパイたちの指先に握られているのです。このように「影の戦争」が軍事作戦に組み込まれることで、戦争はもはや「戦うもの」ではなく、あらかじめ「書かれた結末」へと敵を誘導する、残酷なまでの演劇へと変質してしまいました。(おわり)
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会