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2025-11-23 00:00
(連載2)エプスタイン問題って結局何?
岡本 裕明
海外事業経営者
私の見るエプスタイン氏はこれではないかと思います。表のビジネスを「釣り球」にして裏のビジネスで大金を稼ぐ、そして大物や著名人と結びつく何か特別な仕組みがあったのではないかと思います。BBCの記事にエプスタイン氏を知る女性が「玉ねぎのような男」と称している部分があります。むいてもむいても何か出てくる、つまり彼を知っているようで全然よくわからない人だとして彼のことをenigmatic(不可解な)と表現しています。ここでエプスタイン氏の別の顔が出てきます。少女などとの売春行為であります。これを自ら行うだけではなく、斡旋したこと、そして顧客の行為の録画なり証拠があること、これを相手に囁くことで特別の関係を構築したのではないかとされます。そして2008年の1回目の逮捕では禁固18か月だったのに司法取引で13か月で出所します。その後も同様の行為と問題を引き起こし、ニューヨークの矯正施設に送られますが、ここで2019年に自殺(他殺説もあり)をします。
この間、様々な人的交流があったわけですが、トランプ氏と密接だったことでトランプ氏には売春容疑はないもののどこまで知っていたのか、道徳的見地などが問われているのでしょう。また元財務長官のローレンス サマーズ氏がごく最近、同氏との関係が明らかになり公的な活動を控えると発表しました。サマーズ氏はクリントン政権下で財務長官であり、当然、民主党側になります。更にクリントン元大統領やLinkedIn創業者のリードホフマン氏などの名前もあがりつつある中、トランプ氏は一部の報道機関がエプスタイン問題でトランプ氏との関係に注目が集まる中で「偏向報道だ」とブチ切れ、民主党側にもいるじゃないか、と言っているのはクリントン氏やサマーズ氏のことを指しているのでしょう。
ではトランプ氏は本当に困るような証拠が出てくるのでしょうか?これが私の第2の疑問。いろいろ読んでいる限りではアメリカ世論と報道が想像力に想像力を重ねたストーリーを作り上げているように見えるのです。もちろん、トランプ氏は本人が認める通り、エプスタイン氏と一定の交友関係はありました。それがトランプ氏を致命的な状況に陥れるほどのものはない気がするのです。トランプ氏には第1期政権の時話題になった元ポルノ女優とのスキャンダルがありましたがあれがあるから今回もあるという連想ゲームのような気がしてなりません。エプスタイン氏が偏狭的に若い女性を好んでいたことは事実で、トランプ氏も90年代に「彼も俺も美しい女性は大好きだ。だが、彼は若いのが好みのようだ(he likes beautiful women as much as I do, and many of them are on the younger side)」と述べています。トランプ氏の普段の言い回しからは「俺はそこまで若いのは興味がないが」と取れなくはないと思います。
多分、著名人、億万長者の中にトランプ氏に近い人がいる場合にその人たちの名前が挙がることで自身の支援に影響すると考えている節の方が正解かもしれません。ということはむしろ、その公開されるであろう情報にはトランプ氏ではなく、全く想定外の人物の名前があるのかもしれません。個人的にはスキャンダラスな話にはあまり興味がないのですが、この話題が政治から経済にまで影響を及ぼす可能性を考えれば一応事実関係を押さえたうえで先々の展開を考えるのは必要と言えば必要なのでしょうね。(おわり)
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