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2013-10-13 00:00
(連載)羽田国際線枠の配分は、これでよいか(2)
鈴木 馨祐
衆議院議員
今回の配分の背景には、日本航空による公的支援が競争環境をゆがめたという点があったといわれています。確かに資本が厚くなったことでの有利性は存在していますが、それは企業再生の過程でよくあるケースであり、ある意味やむを得ないとの見方もあります。問題はダンピングや競合他社の吸収といったようにそれを濫用するかどうかという点で、資本があること自体が問題なのではありません。そうはいっても競合他社からすれば厳しい面もあるため政治判断として仮に資本上の有利性が業績に影響を与えるから是正する必要があるとの議論がありうるとしても、その是正策は実際の正確な是正すべき額を埋める以上のものであってはならないし、手法も企業の活動基盤に与える影響が最小限のものから行っていかねばなりません。
にもかかわらず、今回の議論では全日空と日本航空の利益の差がすべて公的支援によるものであるかのような流れの中で、公的支援の直接の結果生じた不公正な差がいったい累計で何億円の規模で、どのくらいの是正が必要なのか、その数値が全く明らかにならないまま議論が進んできてしまいました。これまでの自民党内の議論でもその数値が明確に示され、どうすればその是正が済むのかという議論は私が知る限りされたことがありません。
昨年の国内線発着枠、そして今回の国際線発着枠における一連の流れの議論は、まさに両社の最終利益が同じになるまで是正を続けなければならないという「結果の平等」の観点からの議論になってしまっている。今の流れのままだと、公的支援と関係がない人件費等のコストや経営戦略によるコストの差などについても、再生企業は体質改善の出遅れている競合他社との間で「是正」を求められることになりかねません。それは少なくとも「今頑張っているのもの」の頑張りが報われる自由な経済社会の議論ではない。結果的に、厳しい中現場で頑張っている両社の社員の方々の頑張りを無にすることにもなってしまいます。そして競合他社との最終利益が一緒になるまで是正が行われるのだとすれば、「誰も(全日空も日本航空も)頑張る気がなくなってしまう」上に予見性という意味でこれは経済政策上も大きな問題です。
さらに、是正すべき規模が明らかになったとして、その分の差を、両者の健全な競争に最も致命的な影響を恒久的に与えかねない羽田の国際線市場の独占的状況につながる国際線の発着枠で、なぜそれを埋めねばならなかったのか、税制や他の資金的な手法、国内線の枠、等々他の手法がいくらでもあるにもかかわらずなぜあえて、そのもっとも根幹に恒久的にかかわる手段でその是正を行わねばならないのか、国際線発着枠を選択をした根拠があまりにもないと言わざるを得ない。また、そもそも税金を使った国の関与によるゆがみの是正を行うのであれば、本来的には競合他社の利益にしかならないやり方ではなく国庫に対して「過剰だった分」を返納するというのがあるべき姿です。企業の倒産により競争が失われてしまう等の緊急事態でない限り、国の政策が一企業のみの利益の押し上げに使われるべきではありません。(つづく)
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