挨 拶


名誉会長挨拶

伊藤憲一代表世話人

 冷戦の終焉とともに、国境を越えたモノ、ヒト、カネの移動が高速化、大量化しました。それが世界大の規模で起きたのが、グローバリゼーション(世界化)現象であり、それが地域大の規模で生起したのがリージョナリゼーション(地域化)です。地域化は世界各地で生起しましたが、東アジアは国境の壁が高く、地域化とは無縁の地域ではないかとさえ思われた地域でありました。しかし、そのような東アジアでも、1997年にアジア通貨危機が勃発するにおよんで、それに対する防衛策として急速に地域化の動きが広がり、根を下ろしていきました。2003年にASEAN+3首脳会議の要請を受けて、その傘下に東アジア研究所連合(NEAT)と東アジア・フォーラム(EAF)が設立されたのは、そのような背景においてであります。このときに、日本を代表してNEATとEAFの活動に参加するために、シンクタンク、経済人、有識者の他、関係省庁などの代表者が集まって設立されたのが東アジア共同体評議会(CEAC)です。
 したがって、CEACは「東アジア共同体」の研究団体ですが、推進団体ではありません。そのことはCEACが「東アジア共同体」について特定の定義を前提にしていないことを意味します。「東アジア」の地理的範囲や「共同体」の具体的形態については、いろいろの考え方があり、CEACはそれぞれの考え方の意味を研究し、日本の戦略的対応のあるべき姿を模索することを目的とし、今日まで活動を続けてまいりました。
 これまでの関係各方面の皆様の変わらぬご支援に心からの感謝を申し上げます。


2017年7月13日
東アジア共同体評議会名誉会長
伊藤 憲一