e-論壇「百家争鳴」 e-論壇「百家争鳴」 東アジア共同体評議会 東アジア共同体評議会
 「百家争鳴」へようこそ。投稿へのコメントでないご意見は「新規投稿する」ボタンをクリックして投稿してください。
 なお、投稿記事を他所において引用、転載する場合は、その記事の出所が当e-論壇であることを明記してください。

投稿日で検索  //// 
キーワードで検索   
※キーワードはスペースで区切って複数の言葉を入力できます。
  <<前の20件 | 最新|次の20件>>  [ スレッド一覧 | *タイトル一覧 | 投稿一覧]
混とんとする英国のEU離脱交渉   
投稿者:岡本 裕明 (非居住者カナダ・男性・海外事業経営者・50-59歳) [投稿履歴]
投稿日時:2018-07-26 15:24 [修正][削除]
>>>この投稿にコメントする
No.3368
 英国のテリーザ・メイ首相のストレスは我々の想像の域を超えるかもしれません。EU離脱を決めた後、首相の椅子が転がり込んできたメイ首相はもともとは離脱反対派でした。その彼女が離脱の使命を遂行するには強硬派であるボリス・ジョンソン外相との対立は容易に想像できるものでありました。メイ首相はEUとの交渉において双方合意しやすい内容で離脱を推し進めてきました。これに強く反対するデービス離脱担当相とジョンソン外相が今回、辞任したほか、高官レベルでの辞任も増えてきています。対外交渉の事実上の責任者二人が「こんな妥協案のようなEUとの離脱交渉では英国の自主権はもはや消えうせた」とサジを投げたいうのが今回のストーリーであります。メイ首相としては来年3月の離脱に向けて、今年の10月までには大筋合意し、議会を通過させなくてはいけません。果たして秩序ある離脱はなされるのでしょうか、それとも英国は荒海に投げ出されるのでしょうか?

 今日に至る英国内の離脱に向けた強硬派と穏便派のやり取りを見ていると戦前の日本の政策を思い出しました。戦争に突っ走る軍部は内閣で強硬な発言力を押し通し、首相は次々辞任し、首相のなり手がないほどになっていました。その中で外務省の幣原喜重郎(外務大臣から戦後、首相)は吉田茂、広田弘毅の直属の上司として国際関係間の調整を目指しましたが「軟弱外交」と非難されました。幣原は国内穏健派と外交工作を施し、日本が極端な方向に走らないよう尽力しますが、結果として戦争を止めることはできませんでした。この幣原外交は近代日本外交史において必ずといってよいほどテーマに上がる存在であります。世の中、コトを進める場合、必ずその進め方について温度差は生じるものです。強硬に進める派閥は往々にして結果重視であり、穏健に進める派閥はプロセスと将来のことを考えた折衷になりやすくなるのではないでしょうか?

 例えば慰安婦問題における10億円の支払いは日本国内の強硬派からは強い異論が出ましたが結果としてはあの10億円は痛烈な抑えとして機能しています。北アフリカの春を通じて中東の独裁政権が倒されましたが、あれは政権打倒だけを目指した強硬型だったため、その後の国家の方向性が定まりにくい問題を露呈しました。トランプ大統領の対外政策も強硬的で目先の効果と中長期では違う結果が出るはずです。英国の離脱に関してはジョンソン氏は政権担当能力はなかったとされます。外相に選ばれたもののほとんど実績を上げなかったとされます。つまり暴言を吐くだけ吐いて何の責任も取らず辞めたとみてもよいでしょう。ただ、メイ首相も厳しい立場に追い込まれています。首相としての才覚も問われており、総選挙という声も出ていますが、10月というタイムテーブルを考えればそんなことをしている余裕はありません。メイ首相も辞任する意向はなく、彼女の党内の支持も過半数を超えていることから彼女なりのやり方で突っ走るのでしょう。

 問題は離脱がどういう落としどころになるのか、であります。未解決問題山積の中で19年3月を延長させる方法もありますが、EUとの交渉力という点では使いたくない切り口です。個人的にはアメリカが独立独歩の姿勢を強烈に打ち出していることからメイ首相がそれに勇気づけられて完璧ではなくても離脱強行してもおかしくないと思っています。言い換えればハードランディングの可能性も見ていた方がいいでしょう。ジョンソン氏や前首相のキャメロン氏らと同じ学校だった英国人の知り合いは「もう一度衝撃がある」と以前から指摘していました。遠い国の話ですが、そんなことになればその激震は地球上に瞬く間に伝播するのかもしれません。秋以降の英国からは目が離せなくなりそうです。

No タイトル 投稿者 日時
3425 (連載2)日本はガチンコ外交に備えよ ←  (連載1)日本はガチンコ外交に備え 岡本 裕明 2018-10-18 10:30
3424 (連載1)日本はガチンコ外交に備えよ 岡本 裕明 2018-10-17 22:26
3423 「一帯一路への支援」の裏にある真の狙いとは? 田村 秀男 2018-10-16 17:37
3422 地域金融等の視点から必要な「競争政策」の見直し 鈴木 馨祐 2018-10-13 14:21
3421 (連載2)中国人ICPO総裁失踪事件について ←  (連載1)中国人ICPO総 倉西 雅子 2018-10-12 10:47
3420 (連載1)中国人ICPO総裁失踪事件について 倉西 雅子 2018-10-11 19:34
3419 「日中通貨スワップ協定」は習氏の尻拭い 田村 秀男 2018-10-11 18:20
3418 中国は国家運営の厳しさを露呈か? 岡本 裕明 2018-10-09 20:18
3417 王毅外相のウイグル発言から考える 倉西 雅子 2018-10-06 21:04
3416 経済成長なき市場原理主義に無力感 田村 秀男 2018-10-03 11:10
3415 安倍総裁候補勝利を受けて 鈴木 馨祐 2018-10-02 12:12
3414 (連載2)詭弁と危うさに彩られた「平壌共同宣言」 ←  (連載1)詭弁と危うさ 斎藤 直樹 2018-10-02 08:42
3413 (連載1)詭弁と危うさに彩られた「平壌共同宣言」 斎藤 直樹 2018-10-01 22:49
3412 伊方原発再稼働容認の広島高裁決定は妥当 加藤 成一 2018-09-28 18:56
3411 中国人観光客のマナー問題から考える 中山 太郎 2018-09-28 09:27
3410 「見えない米中戦争」は始まっている 倉西 雅子 2018-09-27 12:23
3409 「自民党青年局長として蔡英文総統と会談」を読んで思 ←  自民党青年局長として 中山 太郎 2018-09-26 15:23
3408 日本に必要なのは晩婚防止・夫婦円満大臣 岡本 裕明 2018-09-26 11:24
3407 自民党青年局長として蔡英文総統と会談 鈴木 馨祐 2018-09-21 18:13
3406 (連載2)AI時代の到来は時期尚早? ←  (連載1)AI時代の到来は時期尚早 倉西 雅子 2018-09-21 12:24

  <<前の20件 | 最新|次の20件>>  [ スレッド一覧 | *タイトル一覧 | 投稿一覧]